自分マネジメントや投資教育をどのように進めるか(3):投資教育、今でもできること

マイスターです。


・「マネーゲーム」という言葉を安易に使うのは、子供の教育上マイナスでは?
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50197614.html
・社会人同士の、「勉強を前提としたルームシェア」を流行らせたい
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50198018.html
・自分マネジメントや投資教育をどのように進めるか(1)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50198560.html
・自分マネジメントや投資教育をどのように進めるか(2)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50199431.html

↑この数日間、投資教育などについての個人的な考えを述べさせていただきました。

・世の中の状況が変わった。投資教育や自分マネジメント術を、学校で教える必要がある。
・そのためにはいずれ、教員以外の人間をゲスト講師として学校に呼べるようにするべきである(特に公立小中学校)。

といったことを申し上げました。
現時点では実現困難なことかもしれませんが、目指すべき方学校像の一つとして、こういう考え方もあるんだなぁ、程度に思っていただければと思います。

しかし、現実に今、投資や自分マネジメントについて何かしらの教育ができないかと考えておられる方々も少なからずおられるのではないでしょうか。

そこで、ごく簡単にではありますが、まずは「投資教育」について、できること、考えてみました。

【学校の外でできること】
学校外でできることには、当たり前ですが、制限がありません。ですから、その気になればいくらでもできることがあります。

・投資教育を担う公的団体や非営利団体のセミナーに参加
金融教育、投資教育を行う団体は、まだ数が少ないのですが、いくつか存在します。そういった団体のセミナーやワークショップに参加できると、いいですね。

例:「金融教育公開授業」(千葉県金融広報委員会事務局)
http://www.chiba-kinkoui.jp/c2.html

・非営利団体が主催する、起業家ワークショップに参加
最近では、小学生を対象にした起業家ワークショップもあるようです。事業をプランニングする過程では必ず、「限られたリソースを、どのように分配するか」を考えることになります。これは、「投資」という行為の、もっともわかりやすい例です。

・家庭で投資について話し合う
保護者の方の知識次第では、家庭で「投資」について話し合うこともできるでしょう。
個人的に、もっともいいアプローチの仕方だと思うのは、「教育費がどのくらいかかっているか」を、話し合うことです。
ちなみに、「アンタには○○円もかかってんのよ!だからもっと勉強しなさい!」みたいな話をするという意味ではありません。これじゃダメです。
例えば保護者の方ご自身が、社会人になるまでに受けてきた教育について、一体どのくらいの金額がかかったのか、それをどう回収したのか、ざっくばらんに話し合ってみるというのも切り口のひとつでしょう。

他、フォスタープラン協会のようなNGOに寄付をしているご家庭は、その寄付行為を通じて、途上国に学校を建設したり、教科書を配布したりする行為に関わっているわけですから、「社会への投資」という点では最高の題材にできると思います。
赤い羽根募金でも、ユニセフ募金でも、その辺は同様ですね。

・子供のための地域開発援助を手がけるNGO、フォスター・プラン
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50116379.html

あと、保険や年金も、未来への投資ですから、ご家庭で話すテーマとしてはいいのではないでしょうか。「今、このくらい未来のために投資していて、将来、これが○○円になって返ってくる」、という話ですからね。こうしたテーマについて話し合う場合は、「年々もらえる額が下がってるんだよ、政治家のせいで」みたいな、単なる政治批判にならないようにするのがポイントです。

【小、中、高等学校でできること】

・実験的に、金融教育の時間をとってみる
・「金融教育ガイドブック」(金融広報中央委員会)
http://www.shiruporuto.jp/consumer/guidebook/index.html
・「マネー情報 知るぽると:金融広報中央委員会」
http://www.saveinfo.or.jp/index.html

上記は日本銀行金融広報中央委員会が作成している資料です。このような資料を用いて、総合学習などの時間を用い、投資や金融についての学習を実験的に行ってみてはいかがでしょうか。中学なら社会科(公民)、高校なら政治経済などの時間でも行えそうです。

・総合学習で取り上げるテーマに、投資の概念を入れてみる

例えば「環境問題」について調べるとき。「自治体が、環境対策にどのくらいお金をかけたか。その金額は、どのくらいのことができるお金だったか」という視点を軸の一つとして入れてみると、これは投資の教育にもなります。
↓一時期、この本が話題になっていましたが、この本のように、他の投資案件と金額を比較するというのは、小学生の高学年くらいから、いいと思います。
文庫改訂版 あの金で何が買えたか―史上最大のむだづかい’91~’01

・進路指導の一環で、学費の話をしてみる
思えば、「国立は学費が安いからなぁ」「私立は高いぞー」みたいな漠然とした話はあっても、生涯でいったいどのくらいの金額がかかるのか、進路指導の先生から説明されたことがありません。
「学費は親が払うもの。子供にお金のリアルな話をして、子供が学費で学校を選ぶというのはよくない」という判断があるのかも知れませんが、少なくとも高校生くらいなら、本当はこうしたことを自分でも把握しておいていいとマイスターは思います。

今は、大学を出た後でも大学院に進学したり、社会人学生になったりする時代。
また、海外留学などの選択肢も、以前よりは広まってきたと思います。
そういった将来の可能性も含めて、「現代では、学びにこのくらいのお金がかかる。だから、こういった学びを通じて、自分がどのくらいのものを得られるか、真剣に計画した方がいい」くらいのことは言って、しっかり考えさせた方がいいのではないでしょうか。

【大学にできること】
・キャリア教育を通じて、自分への投資計画を策定する
キャリア教育を、未だに「就職するための教育」だと考えている大学があるようですが、本来はそうではありません。文字通り、「将来のキャリアプランを計画する」という視点がなければいけません。

転職を含め、30歳までにどのようにキャリアを積み上げるか、
進学の可能性はあるのか、
希望する働き方はどのようなものか、
その仕事はどのくらいのリターンがあるのか、
…などなど、実は人生の重大決断の多くは、「投資」だったりします。
(人によっては、「結婚」も投資だったりするようですが……(笑))

こういったことこそ、キャリア教育の中で考えさせるべきものであるはずです。

・講義の中で投資を学ぶ
大学が扱う学問領域は非常に幅広いです。
もし、投資の概念を学べる講義が開講されていれば、学生に積極的に履修を勧めたいものです。
例えば、
 ・株式投資など、金融に関する授業
 ・途上国開発援助などに関する授業
 ・製品の企画開発などに関する授業
 ・政策に関する授業
…などは、その一例でしょう。これらは、理工系、社会科学系などの分野を問わず、幅広く求められる学問領域ですから、共通科目として開講してもいいと思います。

…と、投資教育については、ちょっと考えたら上記のようなものが思い浮かびました。上記はほんの一例で、実際には考えれば、もっとたくさん出てくるはずです。
もともと、私達の社会は投資で成り立っているのですから、切り口はそこら中にあるのですね。

別に、株式の売買について説明しなくても、「投資」の概念自体は学べるのです。
<ヒト、モノ、カネ(+時間)という資源を投資し、なにかしらのリターンを得る>
というのが投資であって、それは、学校の中でも家庭の中でも、あらゆるところで行われていることです。お父さんお母さんも、学校の先生も、オトナはみんな投資をして暮らしているわけです。
にも関わらず、「子供にそういうことを教えるのは不適切だ」と考えられているのか、学校では、意外にこういう概念を教えていないのです。

ですから、「学費」など身近なところを切り口にして、小学生から大学生までの間にも、ちょっとずつ考えてもらいましょう。

「自分マネジメント」については、ちょっと時間と文字数の都合で今日は書けませんでした。機会があれば、また稿を改めて書きます。
(※しばらく、同じようなテーマの話が続きましたので、少し期間をおいて書こうかなと思います)

以上、マイスターでした。

1 個のコメント

  • コメントが遅くなりまして大変申し訳なく存じます。まず、正直なところでは、マイスターさんが今の教員はけしからんとご立腹であったわけではなかったようで、ほっとしています。もちろん、種々のご指摘があることは承知いたしております。
    さて、一連の記事で、マイスターさんが教育というものを学校も家庭も含めた広い視点で捉えていらっしゃることを理解できました。教育は様々な場所で、継続的に、適切な人・方法を用いて進めるものだなと感じます。学校としては、適切な人・方法を従来よりも柔軟に取り入れるところに改善の余地がありそうです。大学では企業との教育での連携の取組みが進みつつあり、突破口になりそうだと感じています。