大学が、オリジナルのオープンソース携帯電話機を発売

マイスターです。

ボールペンやノートなどの文具から始まり、タオル、灰皿、湯飲み、ストラップ、Tシャツ等々…。大学が販売するオリジナルグッズって、色々ありますよね。マイスターも、他大学のキャンパスを訪問すると、ついなにか買っていきたくなります。最近では、独自にお酒を開発・販売する大学も増えてきているようですね。

今日は、大学が開発した、ちょっと珍しいオリジナル製品をご紹介。

【教育関連ニュース】——————————————–

■「ネットツーコムと東京工科大学、ソフトウェアの入れ替えが行なえるIP携帯端末を発売」(ASCII24)
http://k-tai.ascii24.com/k-tai/news/2006/05/15/662204-000.html

・「東京工科大学の“工科大ケータイ”5月15日有隣堂から発売開始-片柳学園ブックセンター(販売部)限定販売-」(ネットツーコム株式会社ニュースリリース)
http://www.net-2com.com/newn2c/company/news.html

■「東京工科大学、自分達で作る携帯『工科大ケータイ』、小型Linux端末使って」(CNET JAPAN)
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20108728,00.htm
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東京工科大学(学長 相磯秀夫)とネットツーコム社(代表取締役社長 王清)はLinux OS搭載オープンソースIP 携帯端末 “工科大ケータイ”を開発いたしました。“工科大ケータイ”は5月15日より片柳学園ブックセンター(株式会社有隣堂)で通常販売価格75,000円(消費税別)、アカデミック価格 65,000円(消費税別)より限定販売、 一般販売も順次行っていく予定 。
本端末は 、携帯電話の外部形状を持ち、外部拡張スロットにCFカードインタフェース を採用。CF カードの選択により様々な通信メディアを切り替えることが 可能な LinuxベースのデュアルモードIP無線携帯端末である。オペレーティングシステム およびアプリケーションがすべてオープンソースソフトウェアで構成されており、ユーザが独自で変更を加えることが可能となる。(ネットツーコム株式会社ニュースリリースより)

というわけで、オリジナルの携帯通信端末を開発して、売り出すとのこと。なかなか興味深い取り組みです。

この端末、正確に言うと、買った時点では携帯電話としての通信は不可能。自分でアプリケーションソフトを開発したり、オペレーティングシステムを変更したりしないと、100%の機能を発揮させることができないようなのです。
すべてがオープンソースソフトウェアで構成された、極めて自由度の高いシステム。
記事やリリース文からわかるとおり、単なる商用製品ではなくて、教育研究活動の促進を兼ねたツールの一種でもあるのですね。こんな端末を学生時代に手に入れた日には、卒業までいじくり倒してしまいそうです。

大学キャンパスのような環境で販売するからこそ、生きてくる製品だと言えましょう。

大学のキャンパスというのは、それ自体がひとつの社会的な実験場。
でも、この実験場を十分に活用している大学は、そう多くはないはず。
今回ご紹介した報道は、そんな数少ない取り組みの一つではないでしょうか。

…と、ここまでが前半のテーマ。

今回、もう一点指摘させていただきたいのは、「プレスリリース」の重要性です。

マイスターが今回の東京工科大学の取り組みについて調べる時には、ネットツーコム株式会社のニュースリリースが非常に役立ちました。
このネットツーコム、おそらく今回の取り組みについてのリリースを、各メディアに送っていると思います。

5月16日現在、まだ東京工科大学のサイトには、この件に関するプレスリリースは出ていません。ネットツーコムのニュースリリースも、5月15日付けです。
でも、この取り組みを報じる「CNET JAPAN」の記事は、5月11日付けで公開されているんですよね。これは、事前にプレスリリース文が送られているからです。

普通、企業が何かする時は、自社サイトでリリースを公開するだけでなく、

「各メディアに、プレスリリース文を送付する」

ということをするわけです。
この「プレスリリース」をいかに効果的に書き、メディアの担当者の目に留まらせるか…というのが、広報担当者の技の見せ所なわけです。

しかしながら、この「メディアにプレスリリースを送る」という行為、一体どれくらいの大学が、ちゃんと実行できているのでしょうか?
大学の広報部って、なんだかんだで、「待ち」の体質ではないですか?

マイスター、先日も、とあるメディアの方とお話する機会があったのですが、やはり同様のことを言っておられました。
大学の広報部で、プレスリリースをきちんと送ってきたり、資料をその都度送付してきたりするところは、実はほとんどないんですよ……と。

マイスターは、いちおう企業広報の仕事に関わっていたので、そんなお話を伺うと、「ホントかよ!」と驚天動地なのですが、どうやら本当らしいのです。

で、ふと思うのです。
今回の東京工科大の取り組みのような面白い事例は、実は世の中に数多くあって、でもそのほとんどが埋もれたまま、取材が来るのを「待ち続けたまま」、忘れ去られているのではないか……と。

企業が絡んでいるおかげで、今回のような事例が、幸運にもプレス対応のおかげで評価されるに至ったのではないか…と。
というのもマイスター、今回、超ひさびさに、大学の取り組みに関係するプレスリリースを目にしたような気がするのです。
東京工科大の取り組みは、内容自体も非常に素晴らしくて興味深いのですが、それと同じくらい、「プレスリリースをちゃんと見たなぁ」という気分になったのです。

プレスリリースとは、行った取り組みを、きちんと評価してもらうためにとる手だて。プレスリリースがちゃんと適切に出されていれば、世の中から、自分達の活動を正しく評価してもらえる確率は高まります。
逆にプレスリリースが適切に出されていないと、せっかくの取り組みも、実力にもあった形で評価してもらえないことになります。

その点、今回の東京工科大の事例は、内容が良い上、プレスリリースでその情報が十分に提供できていたという、良い例なのかなぁ、なんて想像するのです。(リリースが出ているのは企業の方であって、大学のサイトの方にはまだリリースは出ていませんが)

プレスリリースについては、また稿を改めて書きたいなと思います。
とりあえず今日はこの辺で。

以上、マイスターでした。