大学生の時、建築学科の同じ研究室だった奴に、映画の監督を目指しているのがいます。今でも、夢に向かって邁進中らしく、フィルムフェスティバルで賞をとったりしていて、マイスターも一度出演しました。
こうなったら、ビッグな監督になってほしいものです。
【教育関連ニュース】—————————————-
■「“監督”目指すなら大学へ!?」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/cinema/topics/20060428et12.htm?from=os1
■「別府大で活気づく映画作り」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/ghibli/cnt_eventnews_20050215c.htm
■「個性的な創作 仲間たち支え」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamagata/kikaku/077/1.htm
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映像制作を学べる大学が増えてきているようです。
大学で映像を切り口にした学部が増えてきた理由について、読売オンラインの記事は、専門家の意見を次のように紹介しています。
日本の映画界では長年、各映画会社の撮影所が、監督を目指す人々の教育機関として機能してきた。ところがこのいわゆる『撮影所システム』が20年ほど前から崩壊してしまった。そのまま放っておけば、人材養成も厳しくなってきたため、撮影所が担っていた教育機能を大学が請け負わざるを得なくなったという事情がある。
近年は、映画だけでなく、デジタル映像、ビデオアートなど映像が扱われる分野が非常に多様化してきている。この新しい流れに対応するためにも、大学による教育が必要になってきたといえる(「“監督”目指すなら大学へ !?」より)
マイスターは、わかりやすくいうと「映画だけでなく、あらゆるメディアで映像コンテンツの需要が伸びてきているから」というのが、理由なのかなと思います。
いずれにしても、大学で映像を学べる機会が増えているのは確かなようです。
名の売れたクリエイターを招聘したり、撮影スタジオやデジタル編集スタジオなどの設備を整備したりと、映像関係の学科を解説するにはそれなりのお金もかかりますが、美大以外でも、映像系の学科を持つ大学は増えてきそうな雰囲気です。
上記の記事で紹介されている例からいくつかピックアップしますと……。
東京芸術大学は、横浜市に「大学院映像研究科」を設立しました。
北野武氏、黒沢清氏のお二人を始め、著名なクリエイターを教員にそろえての、これ以上ないくらい鮮烈なデビューです。さすがですね。
■「大学院映像研究科」(東京芸術大学)
http://www.geidai.ac.jp/guid/in_3.html
っていうか、今まで芸大に映像系の学科や大学院がなかったということの方が、世間的には意外に思われるところかもしれませんね。
一方、映像関係の学科を既に持っている大阪芸術大学。
民放と連携した「産学協同ドラマ」が既に放映されているなど、キラリと光る教育活動が目を引きますね。
■「産学協同ドラマ『探偵オブマイハート 総集編』放送」(大阪芸術大学)
http://www.osaka-geidai.ac.jp/index.html
産学協同ドラマとは聞き慣れない響きですが、考えてみれば、映像系学科は、産業界と結びつくための要素をいくらでも持っているのですね。
テレビ番組でもweb用の映像でも、業界は今とにかく、品質の高いコンテンツと、それを作れる人材が、のどから手が出るほど欲しいという状況です。
昔と比べて、映像を配信するメディアは非常に多くなっています。テレビのキー局と映画会社だけではなくて、デジタル放送端末やオンラインメディアなど、あらゆる経路で映像コンテンツがやりとりされる時代です。なので、昔のように、映画会社や番組制作会社が、現場で人材を育成していくだけでは、需要に追いつかないわけです。
ですから、大学と連携してのコンテンツ制作というのは、話の持って行き方次第では案外、メディア側にとっても悪い話じゃないのかも知れません。
(もちろん、そういうことを企画・コーディネートできるような、経験豊かな教員がいてこその話ですけれど)
ところで、映像を学ぶ学生さんの方は、どういったキャリアを目標にしているのでしょうかね。やはり、著名な映画監督や、映像クリエイターとして、自分の名前で作品を残すことに尽きるのかな?
■「現在活躍中の主な出身者」(日本大学芸術学部)
http://www.art.nihon-u.ac.jp/nyuushi/katsuyaku.html
上記は、「映画学科」では日本でもっとも長い歴史を持つ、日本大学芸術学部のサイトのページです。(同学部の沿革を見ますと、1929年の時点で既に「映画専攻」の記述があります)
聞いたことある名前がここまで並ぶと壮観です。さすが芸術系の総合学部ですね…。
というより逆に、芸術系の大学では「著名な卒業生を何人輩出するかということが、何よりの、教育成果の証明になる」ということなのかな……。
映画学科や放送学科からは、やはり監督として活躍される方が輩出されているようですね。ゲーム関係、アニメ関係の人材もおられますが、確かにこうした分野では映像演出の技術が活かされそうです。
また、映像を扱う知識を身につけた上で、それを活かしつつ、脚本家などの仕事に就かれる方もおられるみたいですね。
もちろん、上記のリストに載っているような著名なクリエイターにならなくても、様々な仕事で食べていくことは可能です。クリエイター養成系の学科は、「名が売れるようになるか、食えないままで終わるか」の二つに一つだと思われているかもしれませんが、そこまで極端なことはない……と思います。
これからはコンテンツ産業の時代と言われています。政府も、コンテンツビジネスの育成を重視する姿勢を打ち出していますし、pod castingやワンセグ放送など、優良な映像コンテンツを必要とするメディアはますます増えていきそうな状況です。
映画やテレビをはじめ、映像コンテンツを構成し、演出し、制作するための知識は、今後はあらゆる業界で評価されるようになるかもしれません。
映像系学科の学びは、いわうる従来からの「映画監督」だけではなく、幅広いキャリアにつなげていけそうな気がします。
かつては、映画学科に入りたいなんていうと、「何考えてんだ、夢だけで食っていけるか!」なんて親に反対されたりすることもしばしばだったようですが、これからはそうでもないかもしれませんよと、受験生を持つ全国の保護者の皆様にお伝えしたいマイスターでした。
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■映画専門大学院大学
http://www.filmproducer.jp/index.html
↑こちらは、クリエイターではなく、どちらかというと「映像ビジネスのプロデューサー」を育成する機関ですので、志望者はご注意を。