ニュースクリップ[-3/19] 「風ふけど風車回らず、開発の早大を提訴へ」ほか

マイスターです。

ここ数日間、卒業式がそこかしこで行われているようですね。
袴姿の女性や、花束を手に持った学生の集団など、いかにも卒業式後という風情の若者達を街角でよく見かけました。

やはり、門出の風景というのは、いいものですね。

さて、今日は日曜日ですので、週末恒例のニュースクリップです。

■「風ふけど風車回らず、開発の早大を提訴へ」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060317i514.htm
「大学が訴えられちゃいました」その1。

つくば市の依頼により早稲田大学と日本工業大学が共同開発した風車がまわらない、ということで、市が来月にも早大に対し、3億円の損害賠償訴訟を起こす方針を決めた、との報道です。

(つくば市は)早大に発電と売電の実現性の調査を依頼し、「十分発電は可能」との報告を受けた。
市は2004年度に23基設置したが、市民から「風が吹いても風車が回っていない」と指摘を受け、発電機が正常に稼働するよう早大に対策を求めてきた。だが、早大側から「計画で想定していた発電機は、実際に設置した直径約5メートルの機種の3倍近い直径15メートルの風車だった」と説明されるなどで不信感を強め、提訴に踏み切った。3億円は23基の設置費用と遅延損害金。
市は「発電量は想定の4分の1以下。最初から15メートルの風車のデータだと言ってくれれば、こんなことにはならなかった」と主張。早大は「計画で想定した風車と実際の風車で大きさが違うのは市も知っていたはず」と反論。「問題の解決に向け、誠意を持って話し合いをしたいと市側に申し入れていただけに、残念」とコメントしている。
(上記記事より)

なんだか、コミュニケーションに食い違いが生じているようです。
メーカーが開発から制作を一手に引き受ける場合、仕様を満たすような設計をして、その設計通りに作り、結果が出ないのなら、それはメーカーの責任です。
でも上記の記事を読む限りでは、もしかすると早大は今回、研究・開発のデータを提供しただけで、実際の製造管理まではノータッチだったのかも知れませんね。

「言っていた通りの性能が出ないじゃないか」という市と、
「言っていた通りに作っていないじゃないか」という早大。
一体どこで、どうずれてしまったのでしょうか。
今後、産学連携や、大学から企業への技術移転が活発になってくると、こういう問題はあちこちで起きてくるのかも知れませんね。

いずれにせよ、上記の記事だけでは、どちらの言い分が正しいのかはわかりません。
早大は「話し合いをしたいと思っていたのに」と述べていますが、市は「対策を求めて話をしたのに聞いてくれない」として訴訟という手段に出たと言っていますので、これはもう、法廷ではっきり主張しあった方がいいんじゃないかと思います。
結構な税金が使われているわけですから、ウヤムヤに済ませるのもどうかと思いますし。

■「[騒音訴訟]明大に賠償命令 合宿所の宴会で隣接住民被害」(毎日新聞 livedoorニュース掲載)
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1778083/detail?rd
「大学が訴えられちゃいました」その2。
訴えられたというか、裁判所が大学側の責任を認め、損害賠償の支払いを命じたという報道です。

明治大の運動部が入る合宿所(東京都世田谷区)の騒音が耐えがたいとして、隣接地に住む一家3人が大学側に約650万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は15日、45万円の支払いを命じた。加藤謙一裁判長は「受忍限度を超える騒音だった」と指摘した。
(略)
▽明治大の話 7~8年前に学生たちが合宿所内でコンパなどをしたことはあるが、それは受忍限度内と考えている。判決書の内容を検討したうえで適切な対応をしたい。
(上記記事より)

これも、どちらの言い分が正しいのかは、マイスターにはわかりません。
ただ言えるのは、

<明治大学 = 体育会系の元気が良い大学。バンカラ>

…というイメージを世間は持っているということです。
この個性が強烈であるだけに、少なからぬ人々が今回の報道を見て、大学に対して不利な想像をするでしょう。
明大は控訴するにしてもしないにしても、事実を説明し、悪印象を持たれることなどないよう、きちんと考えをステークホルダー達に対して説明することが大切だと思います。
裁判がどのような結果であれ、適切な対応をとっている限り、事態はそう悪くなることはないものです。

■「いびきうるさいと受験生 東北大で監督者が居眠り」(共同通信 Yahoo!NEWS掲載)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060312-00000114-kyodo-soci
受験競争の過熱ぶりが激しい中国や韓国だったら訴えられちゃうかも知れませんよ、という内容の報道。
人間どうしても睡魔に襲われる時はあるものです。が、人生をかけて試験に臨む受験生にとっては、とても不誠実なことと感じられたでしょう。
受験生にとっては、入学後、自分が教わる人間です。同じようにこの助教授にとっても、受験生は自分がそのうち教育することになるかもしれない人間です。入試というのは、単なるテストではなく、大学と受験生の「対話の場」でもあるわけですから、対話に際し、手を抜いてしまったような状況です。

ところでマイスターはいつも思うのですが、入試の試験監督って必ず教員がやりますよね。でも研究や教育などの「本分」に時間を使うべき教員に、何も試験監督をやらせる必要はないんじゃないでしょうか?
試験に関する質問は、基本的にすべて試験本部にまわされるわけですから、その場で高度な質問に答えるようなことはないわけですし。
(試験監督すら、事務職員では満足にこなせないと思われているのかな?
「何かあった時に事務職員では責任が取れない」とか?)

こういった報道を見ると、こうした前提の数々が、そもそもどこかおかしいような気がしてきます。

■「論文不正、不服受け付けで上部組織設置も 学術会議」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0318/TKY200603180317.html?ref=rss
日本のアカデミズムに関する問題を扱う最高機関とも言える「日本学術会議」が、論文の不正に関して新たな方針を打ち出しました。

論文不正問題などの対処方針を議論してきた日本学術会議の検討委員会(委員長・浅島誠東大教授)は17日の会合で、大学や学会などすべての学術機関に示す行動規範をまとめた。各機関ごとに科学者の行動指針を定め、倫理の担当部署を設けて不正行為にすばやく対処するよう求めている。また、学術会議は、各機関が出す処分への不服を受け付ける上部組織の設置を提案する方針。
(上記記事より)

研究者達がこうしたシステムを自分達で作り上げるというのは、非常に大切なことだとマイスターは思います。
「各機関が出す処分への不服を受け付ける上部組織」、裁判でいえば「上級審」にあたるということですが、今まではこうした役割を担う(大学外の)組織がありませんでした。
新しく提案されている組織にはまだ十分な権限がないようです。でも論文の作成過程を審査し、処遇までの過程をチェックしてくれる機関ができることは、全国の研究者にとっても悪い話じゃないと思いますが、いかがでしょうか。
(もちろん最終的には、誰がどんな方法で審査やチェックをするかということが肝要なんですけれど)

■「34歳の研究者の志継ぎ、卒論に冠名賞 跡見学園女子大」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0318/007.html?ref=rss
訴えるだの訴えられるだのと物騒な話題が続いたので、そうじゃない話もご紹介します。詳細は、ぜひ記事をご覧ください。

教育とは、夢や志を後世につないでいく行為ですよね。
志半ばでそれを断念しなければならなくなった人については、こうした形で、本人の代わりに志を残すものがあってもいいんじゃないか、とマイスターも思います。

■「無菌室の子にネットで授業や会話 信大病院に総理大臣賞」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200603090266.html
こちらも、すばらしい取り組みです。

「無菌室内にインターネットに接続できるパソコンとカメラを設置し、隔離されて治療を受けている子供たちに外部との交流を図ってもらおう」という、信州大学医学部付属病院の試みです。

子供たちはモニターを通じて、院内学級の授業を受けることができるほか、面会に来られない家族とも好きな時に話ができる。無菌病室の電子的な窓という意味をこめて「e‐MADO」と名付けた。
骨髄移植などの治療を受けている子供たちは感染予防のため、無菌病室で数週間隔離され、外部との交流ができなくなる。このため同院は「子供たちを孤独にさせないよう、少しでも元気づけたい」と、昨年から始めたという。
(上記記事より)

「コミュニケーション」や「交流」「教育」という言葉を考える時、インターネットや携帯電話などの通信技術は、どちらかというと悪者にされがちです。
直接顔を合わせなくてもコミュニケーションがとれる通信技術の発達は人を堕落させるだけだ、人間性を育てるためには害悪である、と。

でも、技術の発達が人間を救い、人生を変えることも確かにあるのではないか。
そう思わせてくれる事例です。
技術は、それを使う人間によって、はじめて完成するのですよね。

■インテル、米国の女子高校生に10万ドルの奨学金
http://hotwired.goo.ne.jp/news/20060317205.html

最後は、海外の話題です。

米インテル社は14日(米国時間)、高校生科学研究コンテスト『サイエンス・タレント・サーチ』(STS)の2006年の優勝者が、ユタ州の女子高校生シャノン・バブさん(18歳)に決まったと発表した。STSは「未来のノーベル賞候補」を育成するのが目的で、実際に受賞者を6人輩出した実績がある。バブさんには10万ドルの奨学金が授与された。
(上記記事より)

10万ドルというと、日本円で1,000万円以上。
その奨学金の額にも驚きですが、注目すべきは、「実際にノーベル賞受賞者を6人輩出した実績がある」というところではないでしょうか。

日本でも、「未来のノーベル賞受賞者を育てる」というふれこみのコンテストなどはありますし、受賞者も少しずつ出てきています。
でも、1,000万円の奨学金を支払う、なんてのは聞いたことがありません。受賞したこと自体は名誉であっても、それがその次のステップになっているかというと、なんとも言えません。(せいぜい、有名大学に推薦で入学できる、くらい?)

1,000万円は、将来自分が納得いく成果を出すための資金としては十分です。
海外の大学でも大学院でも、自分が理想と思う環境で学ぶことを可能にする額でしょう。また奨学金と名が付いていますが、学生が個人で使える研究費でもあるわけですよね。
あらためて、アメリカの社会が持つパワーを見せつけられた気分です。

以上、今週のニュースクリップでした。

卒業式帰りの学生は、夜も見かけます。

先日も深夜、居酒屋から出てくる異様な盛り上がりの若者集団を見かけました。
街中に響き渡るほどの盛り上がり。街ゆく皆さんは、「あぁ、卒業式か」と温かい目で見てくれていますが、ほどほどにね。

というわけで、今週も一週間ブログを読んでいただき、ありがとうございました。
来週も、どうぞよろしくお願い致します。
マイスターでした。