すっかり年度末ですねぇ。
学生さんは春休みですが、大学スタッフは繁忙期です。
4月になったら学生さんに配布する各種の『○○の手引き』や時間割表、シラバス等を印刷したり、学生データを登録整理したり、新任教員の人事書類をまとめたり、入試の後処理をしたりと、各部署ごとにやるべきことがあるのではないでしょうか。
おつかれさまです。m(__)m
さて、今日は日曜日ですので、週末恒例のニュースクリップをお届けします。
忙しい年度末の、ちょっとした息抜き…になるかどうかはわかりませんが、仕事の合間にでもどうぞ!
東工大が、究極の入試を実施です。
■「数学だけ5時間…東工大『究極の1科目入試』今秋から」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20060311ur21.htm
理工系の名門、東京工業大学の試み。理科や英語の試験は行わず、数学5時間の試験結果のみで合否を判定するそうです。
センター試験の結果は参考にせず、面接も行わない。国立大学の入試の中で最も長い1教科試験になるとみられる。
東工大によると、2007年度入学予定者に対する試験で、実施時期は今年11月。午前と午後に2時間半ずつの制限時間を設け、それぞれ2問程度を出題する。定員は20人。(以上、上記記事より)
良い意味で、「東工大らしさ」が強く現れている入試だと思います。
他の大学で実施しても成功するかどうかがわかりませんが、東工大理学部なら面白い成果が出るんじゃないか…と、個人的には期待しています。考える楽しさや、知的なスタミナを持った学生が挑戦してくれそうですね。
個人的興味として、試験が終わったら、問題の内容を見てみたいです。
京大が、センター長のポストを民間出身者から公募
■「京大が就職支援の新設ポスト、企業から助っ人募集」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060303AT1G0303Y03032006.html
就職支援を担当する新設ポストの「キャリアサポートセンター長」を、全国からの公募で採用すると、京都大学が発表しました。
「企業で採用・人事を手がけていたか、就職情報企業で就職支援業務に就いていたことのある経歴10年以上の人材」が応募資格だとのこと。
アメリカなどでは、こういうスタッフの管理職を公募で募ることは珍しくないようですが、日本ではまだまだまれです。
こういう、現場を仕切れる管理職が変わることは、大学にものすごく大きな影響をもたらすと思います。京大、やるなぁ…!
しかし、法人化を期に、国立大学の試みが目立ってきていますね。
私立大学ものんびりしていないでがんばってください。
研究室内で開発された高度なソフト、産業界で活用します。
■「大学の『死蔵ソフト』発掘計画 東大・みずほ情報総研」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200603070255.html
大学、特に理工系の研究室では、特定の研究のためだけに独自ソフトを開発することが少なくありません。
(マイスターはとある流体力学領域の研究者のweb日記をよく見ているのですが、確かにしょっちゅうソフトを開発している様子がわかります)
基本的に、開発者本人だけが使うことを想定して開発されているので、インターフェースがわかりにくく、そのまま市場に出すことはできないソフトが多いのでしょう。
しかし最先端の学術研究を支えるソフトですから、シミュレーション技術など、その性能は折り紙付き。オンリーワンの実力を持ったソフトであるはず。
そんなソフトを産業界で活かそうというこの試み、なかなか面白いです。
ところで、研究室内で開発されているソフトには、「研究室が著作権を持つもの」と、「特定の研究者(大学院生等)が著作権を持つもの」があるんじゃないかと思います。
後者のケース、例えば院生が一人で開発したソフトなどについては、開発者個人の権利を保護する仕組みもあってほしいなぁと思います。なんでもかんでも「研究室の財産」というのでは、納得できないケースだってあるでしょう。
ソフトごと開発者が企業に引っこ抜かれる、なんてケースがあってもよさそうです。
(そう言えば、アメリカなどではこういうケースがよくあると聞きます)
唯一の「国が運営する医学部」が、ついに法人化を検討?
■「防衛医大を独法化 民間手法で研究拡大 月内にも方針」(産経web)
http://www.sankei.co.jp/news/060308/morning/08iti003.htm
防衛医科大学校と言えば、「お金をもらいながら医学を学べる」という、素晴らしい環境を得られる場。ただし自衛官になる義務がある。
…という印象を、マイスターは持っていました。
(すみません、不勉強につき、高校生の時に大学ガイドで読んだ知識のままでした)
防衛医科大学校は自衛隊医官を養成する教育機関で、防衛庁の管轄です。
なので実は、一般の国立大学とは違って、独立行政法人化していないのです。
そのため、設備や人材確保などの面で、後れをとっているとの報道です。
あらゆる機関に民営化の方針を適用することには賛否両論あるでしょうが、
(1)予算の制約などで最新鋭の医療機器が導入できず、最先端の研究から遅れている(2)運営が硬直的で、国務への専念義務の障害もあり、産官学の研究が停滞している(3)医大病院の看護師が不足しているが、公務員削減の制約で増員は困難(以上、上記記事より)
といった課題は、確かに放置しておけないですね。
防衛という特殊な領域に絡む問題でもありますから、すんなり事が運ぶとも思えませんが、今後どうなるのか注目していきたいです。
宇都宮大学の教授ら、保育所をキャンパス内に。
■「『近所の子もどうぞ』宇都宮大キャンパスに保育所開設へ」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0308/005.html
大学キャンパス内に私立の認可保育所を開設するという試みです。
大学の付属機関ではありませんが、大学教授が構想を立てて実現化に取り組んだり、教育学部長が理事に就任したりと、大学との関わりは密接です。
教授らは10月の開園を心待ちにしている。「保育所ができたら食育のテーマで支援したい」「留学生の利用を見込んで異文化教育をしたい」
3月で退官する同大工学部の浅野功義教授(65)は、寄付だけではもの足りず、今後も保育所にかかわる決心をした。「4月から教育学部で勉強し直して保育士の資格を取ります」。資格取得までの2年間は「用務員のおじちゃん」になり、子どもたちと対話するのを楽しみにしている。(以上、上記記事より)
と、なんだか読んでいる方がうれしくなるような内容。いいなぁ…。
大学と地域との連携の場としても機能しそうで、マイスターもどんな保育所になるのか楽しみです。
ちなみに、以前、↓こんな事例もご紹介しました。
・大学内に英国式の幼児教育スクールが開園
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/21614963.html
大変な差です。
■「妻の職場に育休制度あると、出産率約3倍 厚労省調査」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0309/003.html
これは民間企業の話。
妻の職場に行く旧制度があると、なんと、3倍も出産率が違ってくるそうです。3倍とはすごいですね…。
もちろん、制度をちゃんと活用できるかということも大事でしょう。制度があっても、育休取得に対して周囲から白い目で見られちゃうような職場じゃダメですよね。
ちなみに厚生労働省は、日本の育休・産休取得率が上昇し欧米の水準に近づいているとよく主張していますが、実は日本の場合、妊娠が判明した時点で職場を去る方が非常に多いのです。
それを勘案すると…日本はまだまだ、なのですね。
ようやく法案提出…?
■「教育基本法 自公、改正案を今国会提出に合意」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0309/007.html?ref=rss
一体、話題になっていたのはいつだっただろう…というくらい、調整が遅れていたようです。教育基本法改正案。
「国を愛する心」と「国を大切にする心」で折り合いが付かなかったとのことですが、あまりに期間がおかれすぎて、国民の間では改正案全体についての議論がストップしていた感があります。
このまま知らない間に法案が可決されたりしていたらなんだかイヤですので、事態を見守りましょうね。
アメリカの読み取り機は、信頼性がいまひとつみたいです。
■「米版『センター試験』、機械不具合で4千人採点ミス」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0309/005.html?ref=rss
昨年10月に受験した学生のうち約4000人について、答案の読み取り機の不具合で実際より低い結果が出ていたことがわかった。(以上、上記記事より)
ゴア vs ブッシュの大統領選のときにも、こんな話があったようななかったような…。うーん、かの国では、けっこう大事な時に機械の調子が悪くなるみたいですね。
韓国の大学、竹島問題をテーマにした授業が開講です。
■「大学の正規課目になった『独島論』」(朝鮮日報)
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1768404/detail?rd
特定のテーマを授業に展開するという試み自体は有意義ですし、学習効果も高いでしょう。学生も、イメージしやすいと思います。
ただ、
李教授は、「日本側の無分別な妄言のため、独島問題はこれまで感情的・部分的・一時的に取り扱われた」とし、「専門の講座を通じて、総合的・持続的・理性的に問題を見極める能力を身につけ、ゆくゆくは生徒の中から領土紛争の専門家が育って欲しい」と明らかにした。(以上、上記記事より)
…という記述のあたりに、なにやら学術教育の範疇を超えた思惑が有りやしないかと、ちょっと不安を感じるのも正直なところです。
(ここでは深くは言及できませんので、後はみなさまそれぞれの感じ方、考え方にお任せします)
というわけで、今週のニュースクリップでした。
今頃は、晴れて大学受験をくぐり抜けた方々が、新生活に思いをはせていることでしょう。月並みな言い方ですが、期待と不安でいっぱいのはず。
いったいどんな学生さん達がキャンパスに来るのか、マイスターも今から楽しみです。そんな学生さん達のためにも、準備、がんばりましょうね。
今週も本ブログを読んで頂いて、ありがとうございました。
来週もどうぞよろしくお願い致します。
以上、マイスターでした。