「ソルボンヌ大学の学食で食事をとり、おみやげとして大学名入りノートを買う」
という、インターナショナルにせこい目標を掲げ、地図を片手に大学を訪れたのですが、その時は結局、学食や購買が見つけられずに終わりました。
■Official website of Paris Sorbonne University – Paris IV(パリ第4大学webサイト:英語版)
http://www.paris4.sorbonne.fr/en/sommaire.php3
■パリ大学(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%AB%E3%
83%9C%E3%83%B3%E3%83%8C%E5%A4%A7%E5%AD%A6
ご存じの方も多いでしょうが、ソルボンヌ大学は「パリ第4大学」というのが正式名称で、1~13まであるパリ大学の中のいち組織なのですね。
その事実を知らなかった当時のマイスター青年。
あのときたどり着いたのが果たして本当にソルボンヌ大学だったのかすら、今となっては怪しいです。
……なんて、のどかな話題を書いてしまいましたが、今のパリはそれどころじゃなさそうです。
【教育関連ニュース】——————————————–
■「仏ソルボンヌ大に機動隊突入、校内占拠の学生排除」
http://www.asahi.com/international/update/0311/010.html?ref=rss
■「ソルボンヌ占拠学生排除 仏機動隊、13人負傷」(共同通信:茨城新聞掲載)(写真有)
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=IBR&PG=STORY&NGID
=intl&NWID=2006031101004199
■「仏全土で学生・労働者ら反政府デモ、首相支持率最低に」
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060307i217.htm
■「仏のデモ参加者2倍に 雇用策に反対、首相に圧力」
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG
=STORY&NGID=intl&NWID=2006030801000311
■「フランス全土で学生デモ 首相の支持率急落」
http://www.asahi.com/international/update/0308/004.html
■「仏学生:若年失業対策案に連日の抗議行動」
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai
/news/20060312k0000m030012000c.html
■「雇用政策撤回求めデモ 第2弾、仏首相に打撃も」
http://flash24.kyodo.co.jp/?
MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2006030701003602
■「フランス:解雇盛り込んだ雇用促進策に反対デモ」
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai
/news/20060308k0000e030023000c.html
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ちょっと前に、郊外の若者が大暴れしているニュースがありましたね。
正直、その記憶がもうぼやけてきていたのですが、ここにきてあのときの映像が鮮明に蘇ってきました。
ソルボンヌ大学(パリ第4大学)に11日未明、機動隊員が突入し、校内を占拠していた約300人の学生を強制排除した。仏各地の大学では政府の雇用改革に反対する学生ストが拡大しており、ソルボンヌ大学が学生に占拠されたのは「5月革命」があった68年以来。(上記記事より)
「パリが燃えている!」みたいに劇的なフレーズが思わずアタマをよぎってしまいますが、物や建物が破壊されたりという被害は、それほどでもないみたいです。
以前の暴動(?)では郊外の若者達がクローズアップされていましたが、今度は学生が中心で舞台が大学キャンパス。
各メディアの記事を読んでも、ハッキリ特定の法律に対する抗議活動なのだとわかります。
↓その原因となる法律が、これ。
26歳未満の雇用について2年間の試用期間中は理由なしの解雇を可能にすることで、企業の採用増を促す法案が9日成立。学生団体や労働組合は雇用を不安定にするとして、法案を押し通したドビルパン首相らへの反発を強めており、機動隊突入で態度をさらに硬化させるとみられる。(上記記事より)
フランス議会が採用後2年以内は企業に自由な解雇を認める初期雇用契約(CPE)を含む若年失業対策案を採択したことを受け、仏全国では10日も学生らが抗議行動を続けた。パリのカルチエラタンにあるソルボンヌ大学では学生ら数百人が警官隊と衝突。仏国民の多くは同大を拠点とした68年5月の大学紛争を思い起こし、衝撃を受けている。(上記記事より)
現在、10%近いフランスの失業率。
ドビルパン首相は、その削減を自分の最大の課題と考えているようです。
Asahi.comの記事によると、「2年間の試用期間は理由を示さずに解雇できる」という法案の意図は、企業の雇用意欲を高めて若年失業率を減らすためだとしているそうです。
これに対し、「解雇が乱発されて雇用がより不安定になる」というのが、学生団体や労組の主張です。
法案を発表した時点で学生などからの反発は必至の状況でしたが、結果として法案は成立しました。
労働政策に疎いマイスターには、この政策が吉と出て失業率が緩和されるのか、それとも若者の就業機会を奪う結果に終わるのかは、まだわかりません。
ただ、
「26歳未満の若者を企業が雇用する場合、2年間の試用期間なら理由を示さずに解雇できる」
と、年齢だけを基準にして解雇の条件に差を付ける、しかも理由は問わないというのでは、若者が怒るのももっともだと思います。
若年失業率が高いから、若者の解雇を容易にすることで雇用を増やす…という狙いもわかるのですが、そりゃあデモも起きるでしょうね…。
いずれにしても、それくらいフランスの若年失業率が深刻で、荒療治が必要な問題だと考えられているのはよくわかりました。
デモ参加者の3分の1は学生で、パリのソルボンヌ大学などは休校となった。仏の18~25歳の失業率は23%で、仏全体の失業率9.6%の2倍以上。参加した学生のストッケルさんは「CPEの廃止が決まるまで闘う」と話していた。(上記記事より)
学生らは10日午後、大学正門に面したサンミッシェル大通りで抗議行動を行った。警官隊と衝突し、約300人が大学の窓ガラスを破って学内になだれ込み、立てこもった。警官側は催涙ガスを打ち込んだ後、11日午前4時すぎに学内に突入。学生側は椅子や本を投げて応戦したが、25人が逮捕された。
学生側は「全国85大学のうち半数以上が抗議行動でマヒ状態となっている」としている。(上記記事より)
法案を議会にかけ、国民の意思を問うのは正しいこと。
また(守るべき節度はあるにしても)デモなどの行為で政策にノン!というのも、市民に認められた権利だと思います。
ただそのために、国の研究・教育の中枢である大学が機能停止している事態も、社会にとってはやはり深刻な危機に違いありません。
そちらも、忘れないでいて欲しいなと思います。
学び舎で勉強できなくなった学生さんや研究者の方々は気の毒ですが、それに加えて、ソルボンヌ大学ともなれば、関わるのは一部の学生や研究者だけではないのではないか、とも思います。
パリ市民、フランス国民の財産であると同時に、世界共通の学術的な宝でもあるんじゃないでしょうか。
そんな重要な学術機関が、政策のあおりを受けて活動を止めてしまっているというのは、仕方がないとは言え、やはりとても惜しいこと。世界人類にとっての損失なのでしょう。
「学術の危機」ということを、あらためて考えさせられる事件だと思います。
一刻も早く事態が収拾され、フランスの学術活動が平常に戻ることを祈るマイスターでした。