…などと、あんまり重要じゃないことを、仕事帰りにぼけーっと考えていたマイスターです。
「社会人学生になった」ということだから、就職組に入るとみた…!
(実際にどう判断されるのかは知りません)
就職と言えば、大学の「出口」の一つ。
むしろ、これ以外の出口があることを認めない人も多いわけで、それについてはあれこれと思うところはあるものの、やっぱり就職に関する報道は気になるのです。
【教育関連ニュース】——————————————–
■「今春大卒者の就職内定率85・8%、昨年同期上回る」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060310i512.htm?from=main5
■「高校生の就職内定率、83.5% 1月末現在」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/job/news/TKY200603100283.html
■「就職内定率 高校生、大学生とも85%」(産経web)
http://www.sankei.co.jp/news/060310/kei057.htm
・「平成17年度大学等卒業者就職状況調査(平成18年2月1日現在)について」(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/03/h0310-5.html
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この通り、就職内定率が回復しつつあるそうです。すばらしい。
要因は様々でしょうが、産業界が「失われた10年」を果敢に乗り越えてきた結果だと、個人的には思います。
あと大学関係者としては、厳しい氷河期時代に大学が送り出してきた卒業生達が、産業の回復に貢献したと思いたいところです。
この10年程度の間に企業は学生を厳しく選ぶようになったと思いますし、学生の方のスキルやキャリアに関する考え方も、大きく変わったのではないでしょうか。
少なくともマイスターの同期には、終身雇用や年功序列が続くと思っている人間は一人もいません。
(そんな同期の中でもっともラディカルなベンチャー野郎だったはずの自分が、年功序列制を堅持し、離職率がほぼ0%の職場でこうして働いているのは皮肉なことです。
でも、現行のシステムがこのまま続くなんて1ミリも考えてないのは相変わらずです…)
就職率の上昇は喜ばしいことですが、マイスターはそれ以上に、離職率がどうなっているのか気になります。
何しろマイスターの場合、同期が10人いたとしたら、そのうち5人…いや6人くらいは転職経験者なんですから(自分含む)。
新卒入社したその年に辞めた人も、数人いました。
「すぐ辞める現代の若者」なんて記事を新聞や雑誌で相変わらず見かけますが、個人的には、実感を伴ってます。
個人的には、「日本人は大いに転職すべし!」と考える、転職推進派です。
自分にどんな仕事が向いているかなんて、働いてみなければわかりません。
また、一度勤めたからって、一生そこにいなければならない理由もありません。
(そして、勤めた会社が定年まで存在している保証もありません…)
むしろ現代では、一生同じ会社でしか働かないという方に無理を感じます。
でも、キャリアに対して何の考えもなしに、
「なんとなく嫌だから」
「想像と違って地味でつまらない仕事だったから」
「もっと自分探しをしていたいから」
なんて、軽~い気持ちで転職するのは、ちょっと考えものです。
残念ながら、こうしたキャリア観を持っている若者は、それほど少なくない気がします。
背景には、大学に限らず、キャリアデザインを真剣に考えさせない日本の社会の性質があるのではないかと、個人的には思います。
○大学に入学後、すぐ「キャリア教育」と称して、公務員試験講座や資格取得を勧められる。
→○内定を多くとった先輩や、よくCMで見かける大企業に入った先輩をヒーローとして扱う就職説明会が、学内で頻繁に行われていることに気づく。
→○3年生になった途端に、内定を勝ち取るためのセミナーや対策講座が始まる。
あっという間に、まわりはリクルートスーツ姿ばっかりに。
→○4年になる前に内定を一つももらえていないと焦る。
「みんな、もっと何十社も受けているよ。入りたくなくても、試験は数をこなしていればわかってくるよ」などと就職課の人に言われてしまい、いっそう焦る。
→○親が、「やっぱり、大きくて伝統がある企業が安心だ」などと主張しはじめる。
→○なんとなく公務員試験の参考書を立ち読みしてみたりする。
→○ようやく内定をゲット。コツが掴めて、もう数社ゲット。
→○内定をもらえた内で、一番名前が知られれていて、デカそうな企業に入ることを決める。(親が喜びそうな会社、とも言う)
…なんていう流れ、ありませんか?
上記は大学の話ですが、高校以前でも、労働と自分の自己実現について、真剣に学ばせる時間は今でもほとんどないのではないでしょうか。
また家庭でも、「将来困らないように、極力名の知られた大学に行く」なんて話ばっかりじゃなくて、自由と責任をともなった将来の話をして欲しいなぁと思います。
もう一つ、見ていてちょっと不安を感じるのが、毎年各メディアが発表する就職人気企業ランキング。
■2006年度大学就職人気企業ランキング 調査結果発表
http://job.mycom.co.jp/07/pc/visitor/2007conts/2006rank/
すばらしく華やかな感じのするランキングで、見事なまでにBtoC企業だらけ。
マイスターはこのランキングから、
「消費者として抱いているイメージや印象」
以上のものを感じられないのです。
これが本当に、自分のキャリアを真剣に考えた結果なのか?
と、疑ってしまいます。
「人を育ててくれると評判の会社」が上位というわけもないし、
「利益が大きく上がっている会社」であるとも限らないし、
「社会から動向が注目されている、尊敬を集める企業」でもない。
う~ん…なんだか、普段から身の回りにある製品やサービスを作っている企業、ってだけで選んでやしないかなぁ…と、ちょっと疑わしく感じるのです。
だって、あまりに華やか過ぎるランキングですよ。
例えば、文系の上位に多い、旅行関連産業。
実際のほとんどの仕事は、華やかなイメージを裏切る地味な手配&確認ですよ。
もちろん、それらは悪いことではなくて、むしろ大切な仕事なのです。
でも、華やかなイメージを抱いて入社を希望しているだけなら、入社して、絶対に後悔します。
このランキングに登場している企業が悪い訳じゃないけど、やっぱり、なぁ。
以上のような状況を考えると…
離職率が上がるのも、「やりたいことが見つからない」と自分探しを続けて年を重ねていくばかりの方がいるのも、フリーターやニートが増えるのも、そりゃあ無理ないのでは? …と思うのです。
マイスターは、フリーターも契約社員も、学生として学び直される方も、本人の生き方の選択肢なんだから全く問題ないと、個人的には思います。
でも、問題だと思っている方は多いでしょう。
ならば、まずはキャリア教育を見直した方がいいんじゃないかな、と思います。
大学のキャリア教育だけではなくて、日本社会全体のキャリア教育です。
それなしに、就職内定率が上がったことだけを喜んでいても、
本質的な部分は停滞したままなんじゃないかなぁ。
…なんて考える、マイスターなのでした。
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(参考)
■「フォーチュンの尊敬される企業ランク」(町田洋次の社会起業家・エッセンス)
http://ameblo.jp/yymachida/entry-10009512722.html
『社会起業家―「よい社会」をつくる人たち』の著者、町田洋次氏のブログ。社会起業家に関する国内外の様々なニュースが紹介されています。
初めまして。
高校で英語を教えています。
ここ数年、大学で、教師の卵たちを教えたり、
デンマークの教育などを社会に紹介したり、
そんな仕事をしたいと思いつつ、
チャンスを、ねらっていますが、
大学の教員の空きはなかなかないですねーーー!!
良かったら、私のブログものぞいてみて下さいませ(^_-)