「あぁ、自分は4つも大学に関わっているんだなぁ」
ということを、一年に一回くらいは実感します。
寄付の依頼がそれぞれの大学から送られてくるからです。
4校の関係者とは言っても、そのうち1つは、「大学の附属高校を出ただけ」というものですから、あんまり大学との関係は深くないはず…なのですが、寄付の依頼はしっかり来ます。
4校すべてのリクエストに応えていたら、マイスターは破産するかも知れません…。
■ハーバード大学の基金運用担当者
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50158024.html
先日書いた上記の記事に関連して、その後、あれこれと各大学の基金に関する情報を見てまわっておりました。
■「世界の大学のファイナンス力格差」(isologue -by 磯崎哲也事務所)
http://www.tez.com/blog/archives/000645.html
上記は、ベンチャー支援などを専門に行われている磯崎哲也氏のブログです。
このように経営の専門家が大学の資産運営について述べられている文章って、最近、ちょくちょく見かけるようになった気がしますね。
■「アルカディア学報:米国大学の基金運用―財務担当責任者の真価が問われる」(私学高等教育研究所)
http://www.riihe.jp/arcadia/arcadia114.html
こちらは、運用によって基金を減らしてしまうリスクについて触れた文章です。
確かに、この点も大事ですよね・
磯崎氏のブログで紹介されている、東京大学基金のwebサイトも見てみました。
■東京大学基金
http://www.adm.u-tokyo.ac.jp/gen/gen5/index.html
実は、こうしてコンテンツを作って大学が持つ基金の情報をweb上にまとめている大学は、そう多くありません。
「大学 基金」などのキーワードで検索をしてみるとわかりますが、多くの大学では、「○○大学○○学部○○支援基金について」のように、細分化された基金ごとの情報でした。
基金立ち上げ時に広く寄付を集めるには、東大のように、窓口となるサイトをひとつにした方がいいでしょう。
閲覧する側にとっても、また情報を公開する側にとっても、情報の開示を行うにはその方が何かと便利な気がします。
それに、その方が、学内の各組織がバラバラに基金を運用するのではなく大学法人が戦略的にすべてを把握しているんですよ、という姿勢を見せることもできるのではないでしょうか。
大学基金に関するコンテンツを検索で探していると、唐代を始め、国立大学法人の情報が目立つようです。
■宮崎大学教育研究支援基金
http://www.miyazaki-u.ac.jp/kikin/index.html
■国立大学法人愛知教育大学 教育研究基金
http://www.aichi-edu.ac.jp/shokai/kikin/index.html
■東北大学基金
http://web.bureau.tohoku.ac.jp/100aniv/fund/index.html
・国立大学法人には、基金を最近立ち上げたところが多い
→立ち上げのため、各項とも、短期間に大規模な寄付を集める必要があった
→webで情報を開示している
と、そういうことなのでしょう。
マイスターも各大学の基金について、興味深く見ていました。
ところで東北大学のサイトでは、学内外に対して募金を呼びかけているのですが、
その寄付額目安が、これでもかというくらい具体的に書いてありました
■東北大学100周年記念事業:募金のお願い
http://web.bureau.tohoku.ac.jp/100aniv/fundraising/index.html
教授は30万円、総長は300万円が目安だそうです。
総長なんて、お一人しかいないわけですから、ほとんどこれは「300万円払うのはあなたの義務です」くらいの勢いですね。
「普通の教授の10倍、報酬をもらっているわけではないと思いますが、大学に関する総長の社会的責任や義務は、10倍くらいですよ♪」
という、基金事務局からの愛のメッセージなのかも知れません。名指しされる総長も大変ですね。
(参考:国立大学総長の報酬規定は、以下に公開されています。
■「国立大学役員報酬規程の概要(基本給)」(webサイト)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu
/gijiroku/001/04051801/006.pdf)
なお事務職員と技術職員の寄付額は、「俸給月額の約20%相当額」が目安だそうです。
(自分の給料で試算中)…なるほど、まぁそんなところかも知れません。
しかし例え教職員が全員この通りに寄付をしたとしても、やはりそれだけで数十億、数百億の基金を立ち上げるのは不可能。
卒業生や、地元を中心とした社会からの寄付金をいかに集めるかが重要ですよね。
ところで、大学に寄付をすると、寄付者にはどういったメリットがあるのでしょうか。
個人で寄付するとなると、寄附金が1万円を超える場合、その超えた金額が当該年の所得から控除されます。(ただし、上限が定められており、寄附金の額が総所得金額等の30%を上回る場合は30%が限度となります)
法人での寄付の場合、全額、損金算入が可能です。
このように、税制上のメリットはあります。
ただ、マイスターを始め、税金対策が必要なほど稼いでない一般社会人にとっては、こうしたメリットは、それほど実感がないようにも思います。
何て言うか…確かに寄付することで、いくらかは税金が安くなるのかも知れないけれど、
「ようし、今年も、節税のために寄付するぞぅ!」
なんて、寄付という行為を起こす動機にはならないんじゃないかな、なんて。
マイスターは税制や寄付の実態にあまり詳しくないので、本当のところはわかりませんが、大学のキャンパスに名前が刻まれるとか、記念品がもらえるとかいったメリットの方に、魅力を感じる人も多いんじゃないかなと思います。
お寺や神社の事業祈念碑に、地元の寄付者達の名前が刻んであるのと同じ理屈です。
ずっと名前が残るって、すごくうれしいことですよね。
まして、社会のために今後もずっと人を育てていく母校のキャンパスなら、「寄付してみようかな」と思う方もいそうです。
卒業アルバムやYear Bookを10,000円で買う卒業生がいるなら、キャンパスに名前を刻んで3~50,000円くらいなら、十分検討の可能性アリなのでは。
(母校から寄付のお願いが自宅に届くたび、自分だったらそういう点を強調するのになぁといつも思うのですが、さて、いかがでしょうか?)
■「ご寄付者への特典」(東京大学基金)
http://www.adm.u-tokyo.ac.jp/gen/gen5/privilege.html
大学によっては、1万円かそこらの寄付でも、キャンパスにちいさく名前を刻んでくれるところがあるようですが、東大はさすがにハードルが高めです。
貢献会員(寄付額累計30万円)にならないと、キャンパスに名前が残りません。
(累計というのがなかなか憎いですね。うっかり5万円くらい寄付してしまうと、せっかくだから残りの25万円を払おうかという気になってしまいそうです)
ちなみに30万円以上だと、称号と記念プレートがもらえますが、最上位の称号である「特別栄誉会員」になるには、累計1億円以上の寄附が必要です。
1億円以上って、すっごいですね。
東大には、企業経営者として稼いでいる卒業生も多そうですが、個人で払おうと思ったら結構な額です。
(捕まる前の、某・IT企業元社長なら払ったかも知れませんが…)
しかし、大学のキャンパスに自分の名前を刻むのは、マイスターのような一般生活者にとってもロマンのある話ですが、何しろ、大学の敷地は限られています。
10,000円かそこらの寄付額で名前を刻んでいては、あっという間に壁や床が名前で埋まりそうです。
そこで、キャンパスの銘板に次ぐ案としてマイスターは、
「webサイトに、寄付者の名前が表示される」
とかいった代替案もいいんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか?
大学のwebサイトのはしっこに、寄付者の名前を一人ずつ、ランダムで表示させるのです。
寄付した口数に比例して、表示される頻度も高くなるという仕組みです。
「平成○○年 ○○学部○○学科卒 山田太郎
学生への一言メッセージ:○○○○○○○○○○○○○○」
とか、2行くらいの文章なら、見せ方次第でうまくレイアウトできそうです。
キャンパスに名前を刻むのもいいのですが、卒業生はそんなにキャンパスを訪れられません。その点webサイトなら、いつでもどこでもアクセスできますから、これはこれで寄付者にとっては魅力があるんじゃないかと思うんです。
寄付した方は、
「今日は、自分の名前が表示されてないかな?」
なんて、頻繁に大学webサイトにアクセスしてくれそうですから、卒業生の目を日常的に大学に向けさせるという効果もあるのでは。
それに、寄付額が小さいと滅多に表示されませんから、自分の名前を見るためについ寄付を重ねてしまうという点も期待(笑)
大学の公式webサイトトップページに載せることに抵抗があるなら、学内関係者向けのポータルサイト内に表示させるのも一案です。
これなら基本的に学生と教職員しか見ません。
履修中の授業リスト表示ページとか、学内掲示板のはじっことか、色々なところに卒業生の名前を出すんです(やりすぎない範囲で)。
つまり、学内向けバナー広告を、寄付金という形で販売するのに近い発想です。
うまくデザインすれば、広告ではなく、「卒業生から在学生へのメッセージ」のような形で、かっこよく表現できると思います。
どこか、やってくれないかなぁ。良いアイディアだと思うんですが。
(注:以上、思い付きを述べましたが、1000回に1回とかの確率に、いったいいくら払ってもらえるのか、という気もしますので、やはりこれは、寄付に対して学校が出す一つの「オマケ」くらいに考えたほうがいいと思います。あと、年を追うごとに寄付者が増え、自分の名前が表示される確率が減ってくるというのが、最大の弱点です…。そこについては、寄付者に納得してもらえるような、何らかの工夫をしないといけませんね。
あと、当然ですが、これだけで数億円なんてお金を集めるのは、やっぱり無理だと思います。)
というわけで、大学への寄付について、あれこれと考えていたマイスターでした。
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※自分の場合、4つの大学のキャンパスやサイトに名前が出ていると、「こいつは何者だ? ただの目立ちたがり屋じゃないか」と思われそうなのが問題かも。
そもそも、大学職員が、他大学のキャンパスに名前を残すというのはどうなのかと、けっこう悩むところです(^_^;)。
そんなWebの活用方法は思いつきもしませんでした。
寄付金というもの自体、本学ではおおっぴらに募っていないようなイメージがあるので、実現の可能性は低いですが、同窓会のページなどでの活用の活路はあるような気もしなくもないです。
ふむふむ、一応ネタ帳にメモっておこう。
↑
しまった・・・
個人的なブログの方のURLを書いてしまいました。
すみません、こっちのURLに変更してもらえませんか・・・(汗)
shunsukeさま:
マイスターです。コメントありがとうございます!
自分で書いておきながら、私の勤め先でも実現の可能性はあんまり高くないよなぁ、と思います…。
でもいつか、何かの形で少しでもお役に立てたら幸いです!
※URL、直しておきました!