そして、4つの大学の関係者でもあるマイスターです。
改めまして、こんにちは。
マイスターは新卒のときも、転職の時も、webで仕事を見つけました。
ずーっとwebしか、使わなかったのです。
結果、新卒の時は、就職課で、一度も相談をしませんでした。
なんというか、そのときは、あまり行く必要性を感じなかったのです。
でも、後で、「なんてもったいないことをしたんだろう」と思いました。
マイスターは、ベンチャー気質の高い校風に惹かれて大学院を選びました。
その大学院には、ベンチャー気質の高い同級生&OBなんかがいっぱいいました。
なら、その就職課には当然、そうした組織に関するデータやノウハウがかなりストックされていたはずです。
なぜ、それを活かさなかったのか…orz
マイスターなんて、最初、『リクナビ』で一所懸命、ベンチャー企業を探しちゃっていたのです。
後に知るのですが、『リクナビ』の情報掲載料は非常に高額なので、ベンチャー企業はあのサイトでは採用活動を行わないのですよ。(行えない、というのが正しいでしょうか)
『リクナビ』にはあらゆる企業の情報が載っている!…と、学生さんは思ってしまいがちですが、実際にはこういう理由で、本当の堀り出し物を見つけるのは難しいのです。
そんなこんなで、かなりムダに時間を使ってしまっていた気がします。
就職課で相談すれば、こうしたことも事前にわかっていたかも知れないのに。
ですので、マイスターが「大学の就職課で相談したい!」と強く思ったのは、転職の時だったんです。
でも、OBに対する情報提供は卒業した学部でも、大学院でも行われていませんでした。
「ここにある求人情報は、みんな在学生のみなさんのものですからねー。卒業生の方の転職に関しては、大学は今のところ何もやってなんですよー。ごめんなさいね。転職、頑張ってね。」
と、うれしいような、悲しいような、微妙なお言葉をいただいて終わりでした。
そのとき、
「あぁ、卒業したんだから、もう自分はこの大学の学生じゃないんだよなぁ。
だから、学生向けのサービスは受けられないか、そりゃそうだよなぁ。
もう、大学としては、社会に送り出したことになってるんもんなぁ。
それなのに、キャンパスの窓口に戻って来たりしたら、迷惑だよなぁ」
…などと、「迷惑かけてごめんなさい、我が母校よ」という気持ちになったのを覚えてます。
しかし、今は、「送り出して終わり」ではない大学も、出てきているようですよ。
【教育関連ニュース】——————————————–
■「大学が転職手助け」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20060131ur21.htm
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先日の「入り口」の話は、慶應義塾大学の事例が登場しましたが、
今日の「出口」の記事では、早稲田大学が出てきます。
大学が設立した子会社が、大学OB、OG達の、転職の世話をするというのですね。
なんとも、うらやましい話です。
まさに、マイスターが望んでいたサービスではないですか!
■株式会社キャンパス
http://www.waseda-campus.co.jp/
サービスを提供しているのはここ。
「三菱商事と早稲田大学が設立した、総合人材ビジネス会社」です。
高田の馬場駅からすぐのところにあるんですね。
ちょっと話はそれますが、
試しに「キャンパス」でGoogle検索したら、検索結果画面右側のアドワーズ広告で表示されました。確かにこの社名では、こうでもしない限り検索画面で見せるのは難しいですよね。「キャンパス」という検索では、あらゆる大学のキャンパス情報が、まず先に出てきちゃいますもんね。アドワーズ広告、うまく使ってます。
「キャンパス」という言葉でのGoogle検索結果では、146番目にこの会社のサイトが出てきます(2006.2.2現在)。なかなか大変な社名ですね。
(そして、139番目に「俺の職場は大学キャンパス」がありました…イイ感じで競ってますねー)
さてさて、話を戻します。
一見、大学の業務の一部をアウトソーシングで引き受ける(よくある)会社…のようですが、会社概要に掲載されている業務を見ると、
□人材派遣
□紹介予定派遣
□人材紹介
□再就職支援
□アウトソーシング
□旅行業サービス
□教育研修・学会サポート
と、見慣れない文字がいくつかあります。
特に、「再就職支援」。
これが、大学卒業生のための転職支援サービスというわけですね。
■「WASEDA-CAREERS」(株式会社キャンパス)
http://www.waseda-careers.com/service/service.html
-卒業生がキャンパスに登録すると、所属コンサルタントが卒業生と相談を重ねて転職先の希望を聞き、自社の専用サイトに求人情報を提供している企業の中から紹介する仕組みだ。コンサルタントは転職内定後も、給与などの待遇を本人に代わって企業側と交渉する。卒業生は支援を無料で受けられ、同社は採用後に企業から報酬を受け取る。-(上記記事より)
これはまさに、民間人材紹介会社のビジネスモデル。
採用する企業の側からしたら、
「早稲田の関係者が、自分のところの卒業生の給与交渉などを請け負う、コンサルティングサービスを始めたらしい」
という印象を受けるのかな?
この『キャンパス』が紹介する人材の評判がいいと、大学の評判も上がるというわけなのですね。
-一貫しているのは、本人の意向を最大限生かした転職支援を行うという点だ。大学が支援する以上、転職者支援の実績をなりふり構わず上げることよりも、卒業生本人の将来を考える必要があるからだ。コンサルタントの1人、武田英世さんは「その人に不利だと思えば、転職を止めることもある」と強調する。こうした誠実な対応が好評で、卒業生の登録数は現在、300人以上に上る。 –(上記記事より)
うらやましい!
…と、いち社会人として、思います。
自分が卒業生だったら、登録したいですもん。
今の時代、最初に就職した組織で定年を迎えようという人の方が、珍しいのではないでしょうか。
これからは、転職をすることは、社会人にとって当たり前の選択肢になっていきます。
そういう時代ですから、「一度送り出したら終わり」という考え方は、もう意味をなさなくなっているのかも知れません。
-WASEDA-CAREERS は早稲田大学の子会社「株式会社キャンパス」が、皆様のご卒業後のキャリアを支援させていただくサービスです。ご利用にあたり費用は一切かかりません。
早稲田大学では従来、皆様が在学中の期間を対象とした就職支援体制を築いて参りました。しかしながら近年のご卒業後の離職率・転職率の上昇、終身雇用制度の崩壊によるキャリア志向の高まりに伴い、インターネットを受付窓口とした支援体制をご用意させていただきました。
(株)キャンパスは設立以来早稲田大学と強いパートナーシップのもと、卒業生あるいは在学生の皆様を中心とした人材派遣事業、図書館等の運営業務等を行って参りました。本WASEDA-CAREERS においてもご校友の方をはじめとした皆様への誠実な対応をお約束し、一層のご活躍を支援させていただければと思っております。-(「WASEDA-CAREERS サービスの概要・特徴」より)
…と、
「一生にわたる卒業生のキャリアデザインを、親身になって大学がサポートしていく」
という姿勢が表現されています。
従来型の就職課とは、かなり立脚点が異なりますよね。
とりあえず学生を全員送り出して、「本学の就職率は○%、全国トップクラスです!」なんて文字をパンフに入れるのだけがミッション、ではないのです。
さらに、マイスターが深く感心させられたのは、ちゃんと、以下のような考えも打ち出されていたところです。
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<枠に囚われない情報提供>
-アカデミックなキャリア選択も-
職を変えることだけがキャリア構築ではありません。今後のキャリアをより実りあるものとするために、時として学業へ戻るという選択もあるのではないでしょうか。ビジネススクール、ロースクール、ファイナンスなど、早稲田大学にも近年多くの社会人向け大学院がラインアップされるようになりました。適職のご紹介のほか、ご興味のある方には各種スクールやプログラムもご案内いたします。
(「WASEDA-CAREERS サービスの概要・特徴」より)
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これぞ、本当のキャリアサポートだと思います!
専門のスタッフが、早稲田OB達のキャリアを活かすコンサルティングを行う。
専門職大学院を整備し、より市場価値を高めるための選択肢として、「進学」も視野に入れてアドバイスする。
とても、魅力を感じる仕組みじゃありませんか。
ここ数年の間、多くの大学の「就職課」は、「キャリアセンター」という名前に変わりました。
でも内容はというと、従来通りの「就職斡旋機関」に、毛が生えた程度のものも多いと、マイスターはずっと思っていました。
その点、早稲田が目指す体制は、本当の意味でのキャリアセンターに近いように感じるのです。
「就職率」を上げることももちろん大事です。
でも実際にはマイスターのように、大学に頼らなくても就職先を見つけることは可能です。
転職も、今は専門の業者が数多くありますから、そうしたところのサービスを使えばとりあえず転職先は見つけられるでしょう。
でも、ずっと無料で、「学び直す」ことまで含めてキャリアサポートをしてくれるのは、大学だけです。
卒業生は、こうした機能の強化を、大学に期待しているのではないでしょうか。
そうした点で、早稲田の事例は、他の大学にとっても学ぶところが多いと思うのです
長くなってきたので、この辺にします。
二日間に渡り、
大学の入学制度と、卒業後のサポート制度、それぞれ興味深い事例を取り上げてみました。
「大学改革」というと、ついつい学んでいる間の話を中心にしてしまいがちですが、実はこうした前後の部分についても、変えていくべきところは多いと思います。
こうしたところを考えることで、「大学って何だ? 大学での学びって何だ?」ということを、より鮮明に意識できるのではないかと思うのです。
以上、マイスターでした。