小学生の自分が、どういうイメージで「学者」と書いたのか、全く覚えてません。
かっこいいと思ったのかな…?
しかし、当時のマイスター少年にとって、学者というのは別に親しみがあるとか、身近な存在というわけではなかったので、一体どこからイメージを引っ張ってきたのだか、書いた本人もわかりません。
ただ、
当時のマイスター少年にとって、学者と言ったら理化学系の研究者だったようです。
ちいさなころ、学者と言えば、そんなイメージでした。
おそらく、今の子供達も、その辺はあんまり変わらないんじゃないでしょうか。
小学生くらいまでの子供が近くにいたら、試しに「学者のひと」の絵を描かせてみてください。
これは創造ですが、おそらく結構高い確率で、
白衣を着て試験管や三角フラスコを持ち、メガネをかけた男性の絵を描くと思います。
日本での、ステレオタイプな学者像です。
このとき、「はかせの絵を描いてみて。はかせってどんな人?」と言い換えてみても、子供はやはり同じようなイメージを描くんじゃないかと思います。
<学者=はかせ=白衣で試験管持ったメガネの男性>
というイメージって、多くの子供達が共通して持っていると思うのですが、いかがでしょうか?
ご自身が子供だった時を思い出してみてください。
こんなイメージ、持ってませんでしたか?
さて、昨日は博士号についての記事を書かせて頂きました。
今日は引き続き、補足となるような情報をご紹介していきたいと思います。

↑こんな資料をご存じですか?
これは、各国の教育制度などについての調査結果をまとめた冊子で、文部科学省が毎年発行しています。
教職課程などを持った大学なら、図書館の資料コーナーにあるんじゃないでしょうか。
もしくは、例年だいたい1月下旬に刊行されているようですから、最新号を自分で1冊購入して、手元に置いておくのも良いかと思います。
あると、何かと便利ですよ。
\900と、たいへんお求めやすい価格になっています。
さて、実はこの中に、
<学位取得者の専攻分野別構成(大学院)>
なんていう調査結果が掲載されているのです。
これは便利!
というわけで、さっそく、日本の博士号の取得分野を見てみましょう!
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■日本の博士号取得者の専攻分野別構成(2002年度)
(←クリックで拡大します)
(以上、教育指標の国際比較〈平成17年版〉を元に作成)
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見やすいように、グラフにしてみました!
…って、一見して、医療関係の博士号が異様に多いですね。
これ、大部分は、「医学博士」なんじゃないかな、と思います。
で、自然科学系がおよそ85%程度を占めています。
子供の時のイメージは、あながち間違ってませんでした。
まぁ強いて言えば、工学博士だけは、どっちかというと白衣より作業着やツナギを着ていることが多いと思うってくらいでしょうか。
対して、「人文・芸術」「法経等」の比率がとっても少ないです!
これは、かなり特徴的です。
天才・柳沢教授もさぞ悲しまれることでしょう。
っていうか、家政学系の博士、全国で13人しか生まれなかったのですね…。
「絶滅の一歩手前」みたいに見えるのですが、大丈夫でしょうか?
これは自然なことなのか、それともおかしいことなのか。
というわけで、他の国の博士号構成比も見てみることにします。
まずは、日本の大学関係者がよくお手本にしている、アメリカ。
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■アメリカの博士号取得者の専攻分野別構成(2000年度)
(←クリックで拡大します)
(以上、教育指標の国際比較〈平成17年版〉を元に作成)
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医療関係の学位が目立たなくなりました。
全体の構成が全然違いますね。自然科学系の博士が、5割を切っています。
なんと、「人文・芸術」の博士が最も多いんです!
これはびっくり。日本と大違いではないですか。
教育学も多いです。
医学博士より、教育学博士の方が多そうな勢いですよ。
いやまてまて、アメリカも特殊なのかも知れません。
というわけで、以下に、各国のデータを一挙公開です!
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■イギリスの博士号取得者の専攻分野別構成(2001年度)
(←クリックで拡大します)
■フランスの博士号取得者の専攻分野別構成(2000年度)
(←クリックで拡大します)
■ドイツの博士号取得者の専攻分野別構成(2000年度)
(←クリックで拡大します)
■ロシアの博士号取得者の専攻分野別構成(2002年度)
(←クリックで拡大します)
■韓国の博士号取得者の専攻分野別構成(2003年度)
(←クリックで拡大します)
(以上、教育指標の国際比較〈平成17年版〉を元に作成)
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以上、各国の博士号分野構成比率を、グラフとしてご紹介してみました。
いかがですか?
ドイツや韓国など、日本と同じように自然科学系の博士が多い国はあります。
(この三ヵ国は、医療関係の博士が多いということも共通してます)
でも、そんなドイツや韓国でも、全体に対する人文科学系および社会科学系の博士の割合は、日本の倍以上です。
どうやら、
日本では、
人文科学系と、社会科学系の
博士の割合が圧倒的に少ない!
と言えそうです。
というわけで、
じゃあ、
それは何故なのか?
ということを考えてみたいと思います!
…と思ったら、今回はグラフをいっぱい掲載したからか、もう記事が長くなってきていました。
(記事の長さを、縦に短くする試み、継続中です)
ですので、この「どうして日本では人文科学と社会科学の博士が少ないか」ということは、次回にまわします!
ところで、今回ご紹介したグラフ、なかなか見ていると面白いですよ。
各国で、学習歴がどのように評価されているのか、教育成果がどのように社会に受け入れられているかなど、思うところがたくさんあります。
また、各国の産業構造に照らし合わせて見てみてもいいですよね。
せっかく、Excelでせこせこ作ったので、じーっと見つめてみてください。
何か、浮き上がってくる事実のひとつやふたつ、あるんじゃないかと思います。
以上です。
今回はビジュアルを組み入れてみました。
大変ですが、たまにはこうした資料があると、より皆様のお役にたてるのかな、なんて思うマイスターでした。
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(関連記事)
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