高度情報社会というだけあって、その気になれば、オンラインで世界中の新聞が読める時代です。
マイスターも、乏しい英語力で、一応海外のニュースを読んでいます。
今日は、高等教育に関する有力紙をご紹介します。
【教育関連ニュース】——————————————–
■「The Chronicle of Higher Education」
http://chronicle.com/
■「Times Higher Education Supplement」
http://www.thes.co.uk/
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どちらも有名なので、既にご存じの方には「今さら」という感じでしょう。
「The Chronicle of Higher Education」は、大学職員のprofessionが語られる際には必ずと言っていいほど引用される、業界では有名な専門紙です。
文字通り、アメリカの高等教育関係者向けの記事を扱う週刊の新聞で、非常に興味深い記事が並んでいます。
日本にいる我々は、なかなか実際に印刷された新聞を手に取ることはできませんが、オンラインの記事を購読することはできます。
1年間につき、$82.50 (2005/12/20現在)です。
これだけ充実した専門紙がこの価格ならいいかな、と思って、マイスターはオンライン記事の購読をしています。
これで、ネット上の記事は、読み放題です。
(実際の紙面を日本まで送ってもらうこともできるようですが、その場合$295もかかります…)
ちなみに、購読契約をして無くても、トップページの見出しだけなら見られます。
記事の本文を読むなら、契約しないとダメです。
この「The Chronicle of Higher Education」のトップページを見ていると気づくのは、「Hurricane Katrina」関連の記事が毎週、なにかしら掲載されているってこと。
そう、日本でも色々と報道された、ハリケーン「カトリーナ」です。
マイスターがよく参考にさせて頂いているブログ「アメリカの大学事情」さんの記事でも以前紹介されていましたが、このカトリーナ、アメリカの教育に多大な被害を及ぼしました。
日本ではもう、過去のニュースとなりつつありますが、アメリカでは現在も残ったダメージに関する報道がずーっと続いているわけです。
読んでいると、「そうか、自然災害でキャンパスが使えなくなると、こんな問題に対応しなければならなくなるんだなぁ」なんて実感がわきます。
例えば日本で、東京や京都など、大学が集中している地域が自然災害の被害を受けたら、どんな対策が必要になるか、想像してみましょう。
…ね、大変ですよね。
「The Chronicle of Higher Education」、オススメです。
次に、「Times Higher Education Supplement」です。
こちらは、かの有名な「Times」の高等教育関連版。
やはり、有意義な情報が満載です。
「世界の大学ランキング TOP100!」なんてデータもよく掲載されています。
こちらも、オンライン記事の購読ができます。
また、数日間のトライアル期間もありますので、ご興味をもたれた方は試しにご覧になってみてはいかがでしょうか。
なお上記の2紙、日本でも高等教育に関する教育研究機関には置いてあるかも知れません。
こないだ、「大学アドミニストレーション専攻」が開設されている桜美林大学大学院の新宿キャンパスにおじゃましたのですが、上記の2紙ともに、実際の紙面がロビーに置いてありました。さすがです。
そうした場所で読むこともできますので、お近くの教育機関に問い合わせてみるのも手です。
さて、「The Chronicle of Higher Education」が業界で有名なのは、記事の充実度だけが理由ではありません。
この新聞は、求人欄が充実していることで知られていたりします。
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■「Chronicle Careers」(The Chronicle of Higher Education)
http://chronicle.com/jobs/
■「HigherEdJobs」
http://www.higheredjobs.com/
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日本の大学職員はほとんど転職をしませんが、アメリカでは勤め先を変えるのは珍しくないようです。
「転職しないとキャリアアップできない」
というのが、かの国の人事システムですから、大学職員も転職はします。
で、「本学は今、こんな人材を募集中!」という、高等教育業界の求人情報が集まるのが、上記のようなメディアなのです。
「Chronicle Careers」は、「The Chronicle of Higher Education」の求人欄の情報で、膨大な量の求人情報が載っています。
サイト版では、職種別、勤務エリア別などの検索機能が便利です。
「勤務エリア別」で、例えば日本の求人もすぐに探せます。
http://chronicle.com/jobs/search.php?country=Japan&pg=l
見ると…お、名古屋大学と、名古屋商科大学、それに多摩大学が求人を出してますねー。
名古屋商科大学は、外国語学部の副学部長を、「Chronicle Careers」で募集しているのですね。
なかなか意欲的ですね。
教員だけでなく、大学管理スタッフの求人も非常に多いです。
それも、管理職クラスの求人がズラッと並んでいるのが、アメリカの特徴でしょうか。
試しに例を見てみましょう。
「University of Maryland University College」が、「Director, Career Services」 を募集してます。
キャリアサービス部門のディレクター。
具体的な仕事内容も書かれています。
↓
http://chronicle.com/jobs/id.php?id=0000439730-01
こうして大学運営スタッフの管理職を公募するという行為が、そもそも日本では見られませんよね。
注目すべきは、求人情報の「Qualifications(資格・条件)」の欄です。
Requires a Master’s degree in student personnel, career counseling, MBA, or closely related field, and three-to-five years of progressively responsible experience at the Director, or Assistant Director level in a college, or university career services operation.
「学生のキャリアカウンセリングやMBA、またはそれに関連する分野での修士号を持っていること。
そして、大学やカレッジのキャリアサービス部門の業務で、ディレクターまたはアシスタントディレクターとして、3~5年の経験を積んでいること」
が条件と書かれているのですねー。
専門知識と、専門の経験があって、初めてディレクターになれるというわけです。
日本とはまるで違いますね。
日本の場合、大学の「事務職員」として新卒採用され、その後はローテーションで様々な部署を経験することになります。
教務課で5年、経理課で9年勤務し、その後キャリアセンターの課長補佐に、なんていう人事もわりと普通です。
この場合、キャリアサービスに関する知識ゼロの状態で管理職になるわけです。
専門性は期待できませんが、その大学の中の業務に関してはそれなりに詳しくなれます。
いわゆる、ゼネラリストとスペシャリストの、どちらを目指すべきかという論争は、日本の大学職員(特に若手)の間でしばしば行われています。
簡単にどちらがいいとは言えない部分もあります。
ただ、「Chronicle Careers」の求人情報などを見ていて思うのは、
「自分のキャリアは自分で築く!」
という意識を、アメリカ社会の人々は非常に強く持っているなということです。
(そういう自立意識をもって生きていかなければならない社会、ということでもありますね)
この点は、見ならっていいことなんじゃないでしょうか。
日本で、ゼネラリスト、スペシャリストの議論をすると、
「私は色々な職場を(大学に)経験させてもらいたい」
という、ちょっと受け身の要望を語る人が、特にゼネラリスト派に多いことに気づきます。
何も知らない状態から、少しずつ職場に育ててもらう、という感覚です。
これは、ちょっとリスキーな発想じゃないかとマイスターは思ったりします。
と、そんなことを考えるのにも、海外の業界紙は役に立ちます。
英語の勉強も兼ねて、試しに読まれてみてはいかがでしょうか。
勤め先の大学図書館に購入してもらうのもいいと思います。
というわけで、今日は、海外の高等教育専門紙をご紹介しました。
マイスターでした。