小中高校の学校職員イノベーションには、疲弊した教育現場を変える可能性がある!?

最近、mixiで昔の知人を立て続けに何人か見つけました、マイスターです。

で、挨拶を送ると、返ってくる返事には100%、

「大学で先生やってるんだ~、スゴイねー」

と書かれています。
プロフィール欄には、はっきり「教務課勤務」と書かれているのですが、なぜか、必ず「先生やってるんだね」で挨拶されます。

mixiなどのSNSでは、たいてい「写真」欄があるのです。
で、マイスターはそこに、このブログの上部の画像、
高層ビル群を背景に「俺の職場は大学キャンパス」という白い文字が浮いている画像を、そのまま貼り付けているのです。

マイスターのmixi画面を見るとか、最初にこの画像が目に入ります。
そこで、来訪者の中で

「俺の職場は大学キャンパス」→「つまりこいつは大学の先生」

という構図が一瞬のうちに成立しているのだと思います。

世間は、<大学で働く人 イコール 大学の先生>と見ているんだなと、しみじみ実感します。

そんな、事務職員の悲哀を感じる中、おぉこれは、という記事を見つけました。

【教育関連ニュース】——————————————–

■「学校職員が下校時にパトロール 宇都宮で全国初」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/1206/002.html?ref=rss
—————————————————————

-宇都宮市立小中学校の学校職員が5日、児童生徒の下校時に防犯パトロールを始めた。公用の軽ワゴン車に青色灯をつけて巡回する。栃木県警によると学校職員によるパトロールは全国初という。不審者対策の一環として今夏から準備していた。学校施設の修繕や整備を担当する49人がローテーションを組み、毎日10人が、午後2~4時の下校時間帯に、それぞれ15分間程度、市内をパトロールする。-(上記記事より)

子供を狙った凶悪犯罪が連日報道される中、公立小中学校の職員が、パトロールを始めたという記事です。
夏から準備していたとのことです。ここしばらくの間の事件に素早く対応できたのも、そのおかげでしょう。

学校のスタッフというと、世間的にはどうしても「先生」が連想されると思います。
しかし、学校で、子供達のことを考えているのは、教員だけではありません。
頼れる職員がいるのです。

教員は、それでなくても、教育と、教育以外の学校業務に超多忙です。

・参考:教育に対する投資の内容が、国によってこんなに違う!
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50081836.html

過去の記事でご紹介しましたが、日本では、教員が教育に費やす時間は、年間に648時間。
OECDでこれを下回るのは、ポーランドとトルコだけですから、かなーり少ない水準です。
ところが「総労働時間」となると、日本は年間、1960時間で、ダントツのトップ。(しかもこれには残業時間が含まれていません)

日本では、授業以外に割り当てられている教員の労働が、もともと長く設定されており、
はなっから、「教育以外のこともやる労働者」という位置づけで制度設計されているのがわかります。

こうした事情は、上記のOECDデータの他、本ブログにお寄せいただいた現役教員の皆様からのコメントからも、伝わってきます。

そんな状況の中、このうえ、パトロールまで教員の業務にするのは、酷です。
そこで、学校職員の出番というわけです。

大学もそうですが、
教育のことに関しては、事務職員は基本的に、直接できることってほとんどありません。
教育支援は行いますが、最後は教員が学生の前で汗を流して働くわけです。
それは、小中学校、高校でも同じこと。

しかしパトロールとなれば、職員にもできるわけです。

ところで公立小中学校の学校職員の皆様は、普段、どんなお仕事をされているのでしょう?

もしかすると、大学職員以上に、その業務の実態は、知られていないかも知れません。
そこで、参考になりそうなサイトを、ここでいくつかご紹介いたします!

■「横浜の学校事務室から:Open Office」(横浜市公立学校事務職員研究協議会)
http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/kenkyu/jimu/

横浜市の、公立学校事務職員の皆様のサイトです。
以下の「学校事務職員になって」のコーナーは、実際に学校事務職員の一日の仕事を写真付きで紹介したもの。
非常にわかりやすいです。
学校事務職員になって:K氏の1日
学校事務職員になって:新採用者Sさんの1年

■「職員室からこんにちは」(徳島県三好郡小中事務部会)
http://www.mkk.ed.jp/myjimu/title_fl.htm

徳島県三好郡の、事務職員の皆様のサイトです。
「徳島県公立小中学校の事務職員の職務内容に関する通知」には、実際の仕事の種類が挙げられています。

これらを見る限り、大学の職員以上に「何でも屋さん」という感じです。
上記の「職員室からこんにちは」では、事務職員の数について「1校に1~2名。ただし小さい学校にはいません」と書かれています。
自治体によっても若干の違いはあるのでしょうが、公立小中学校の場合、少人数であることが多いのかと推察します。

冒頭でご紹介した朝日の記事では、宇都宮市内で「学校施設の修繕や整備を担当する49人」が集まったと書かれていますが、これは人数が少ない中、市の学校職員がかなり集まったと考えていいのかな、と思います。

大変な中、おつかれさまです。しかし、市民にとっては、こうした活動は心強いと思います。応援してます!

ところで、「学校職員によるパトロールは全国初」とあります。
そういえば、新学期の朝、信号の横で黄色い旗を振っているのは、たいていPTAで活動する保護者でした。
徳島の、「徳島県公立小中学校の事務職員の職務内容に関する通知」にも、児童生徒のためのパトロールなんて業務は入っていません。
普段から、毎日パトロールを業務として行う場合には、残業代とか、組合とかの問題が当然出てくるのだと思います。

宇都宮の事例は、子供の安全が脅かされる中で生まれた「奥の手」だったのかも知れません。

こうした緊急的な行動では、PTAの皆様を動員するのも難しいでしょうし、前述のように教員は多忙。
というわけで、事務職員がパトロールをすることになったのだと思います。

で、ふとマイスターは思う。

公立の場合、この学校事務職員の皆様のお給料も、義務教育費国庫負担金から半分出ているわけですね(今後は1/3ですが)。
現在進行中の教育改革に、関わっているわけです。

しかし考えてみれば、こうした学校改革で、「学校事務職員」の話題が俎上に上ることは皆無です。

「地方に財源をまわして、先生を増やせ」

なんて主張は何度も聞きましたが、

「地方に財源をまわして、学校事務職員を増やせ」

なんて意見は、ただの一度も聞いたことがありません。

しかし、前述したOECDによる調査結果や、このブログに寄せられるコメントなどを勘案すると、

「教員の仕事をいくらか肩代わりしてあげられる、優秀な職員」

こそ、実は公立学校に求められているのではないのでしょうか?

このマイスターですら、どうやらこれまで、その視点を失っていたようです。
普段、大学の業務については、

「教員に偏っている、もっと事務員に仕事を任せられるようにしろーっ!」

と主張しているのに…
まったくもって、恥ずかしい次第です。汗顔の至りであります。

まず変えるべきは、学校の運営体制でありました。

当然、そうやって考えていくと、現在の「学校事務職員」像も変わってきます。

大学の事務職員も、現在、アドミニストレーターとして高度な業務に携われるように自己改革中ですが、
公立小中高等学校の事務職員も、少しずつ、求められる能力が変わってくるかも知れません。

<学校事務職員=学校の事務を引き受ける人>

が、現在の定義です。

細かく見ると、↓こんな種類があります。
「学校職員」(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E8%81%B7%E5%93%A1

しかし今後は、

学校事務もある程度アウトソーシング化されたり、
簡便な仕事はパートさんや大学生アルバイトなどに任せたりして、

中心となる専任職員は、

情報ネットワークに精通した人とか、
民間出身で経営スキルの高い人とか、
学校経営を大学や大学院で学んだ人とか、
教育学を専攻し、教員と同じレベルで教育について意見を出せる人とか、
NPOを自分でたちあげて運営したことがある人とか

そういう人たちが担っていくようになるかもしれませんよ。

フリーターやニートと呼ばれる方は増えています。
パートタイムで働きたい方も増えています。
引退した企業経営者などもいます。働きたいシニア世代は増えていきます。
そんな方々をアルバイトとして組織し、自らは指令塔となって学校サポートチームを率いる、
そんなプロ職員が登場したら、その学校は変わります。

大学は組織が巨大ですから、変わるのにも時間がかかりますがが、小中学校なんかはそれこそ劇的に変わるかも知れません。
教員の皆様が、目に見えてラクになると思います。

現在、学校事務職員になるための情報は、↓こんな感じです。

・「マナビジョン:職業・学問情報:学校職員」(Benesse)
http://manabi.benesse.ne.jp/doc/g40_shinro/job/j_main077.html

—————————————————————
<安定した職業で人気が高まる>
出生率の低下で、今後しばらくは学齢期の子どもが増える見込みはなく、学校の数も減少傾向にあります。しかし、学校が一般企業のような形で倒産することはめったになく、その意味では、学校職員は安定した職業の一つと言えるでしょう。そのため、近年は特に人気が高まっています。

<国公立は安定した待遇が魅力>
国公立、私立を問わず、勤務時間は規則的で、残業も少ない場合が多いようです。

<ふさわしい人>
基本的にデスクワークが中心で、金銭を扱うことも多いため、きちょうめんでまじめな人柄が望まれます。
 また、子どもや若者を相手にすることもある仕事なので、気さくで親しみやすいことも条件です。最近はコンピュータを扱う機会も増えているので、機械に強いことも必要です。

—————————————————————

などといった感じで紹介されています。
きっと、一昔前の大学職員もこんな感じだったのでしょう。

今後はこれに加えて、民間企業での経験や、留学経験、専門職修士号などが求められるようになるかも知れません。
というか、そうなったらいいな、というマイスターは期待してます。

どこかの自治体が、「学校職員改革」、やってくれませんかね。
公募の校長ではなくて、公募の「自治体の教育事務改革担当」です。

一カ所でも、これで成果を出す自治体が出たら、他も参考にしてくれると思うんですが。

「教育」と「事務」の間に、新しい職種が誕生するかも知れません。
大学もそうしたことを現在考えていますが、公立学校も、ちょっと考えてみてはいかがでしょうか?

一緒に、日本の教育を変えましょう!

以上、学校事務職員仲間を応援するマイスターでした。

2 件のコメント

  • こんにちは。
    大学生のgosbooと申します。
    TBさせていただきました。
    学校事務職員の充実は、本当に必要な事だと思います。
    学校側やNPO団体etcと
    大学生がなにか出来る事・連携出来る事があれば
    どんどん、やって行きたいと思っています。
    拙マイブログの中で今日以外にこの件に関して書いた記事です。
    お時間があればお読みいただければ幸いです。
    http://gosboo05.exblog.jp/1775575

  • gosboo様:
    マイスターです。
    せっかくコメントをいただいたのに、お返事が遅くなり、大変失礼いたしました。
    記事、拝見いたしました。学校職員にご興味を持っていただき、ありがとうございます!
    そうなんです、これから、変化がおきそうな仕事で、面白そうなんですよ!
    今後も、この職種については色々と調べて、情報をご紹介していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。