「学食好き」であることは、既にブログでも何度かアピールしていますが、
文化祭、学園祭も大好きです。
学食巡りと学園祭巡りは、合法的にライバルの視察もできて、
まさに、趣味と実益を兼ねたライフワーク。
今年は、自分の勤務先や、家の近所の大学など、あわせて3校の学園祭を訪ねました。
各校、みな個性がバラバラで、興味深かったです。
マイスターは、
「学祭の盛り上がり度は、その大学の勢いとかパワーとかをあらわす重要なバロメーターのひとつ」
という自説を信じて疑いません。
学生が異様に盛り上がっている大学の学生には、普段からやはり底知れないエネルギーを感じます。
あまりよく知らなかった大学でも、学祭に行ってみて、
「ここは、学生がこんなにも元気な大学だったのか!」
と感じると、大学そのものの印象が良くなっている気がします。
自分がかつて、しがない理工系大学生だったとき、他大学の学祭に遊びにいって受けた衝撃は忘れられません。
一言で言えば、「嫉妬」を感じたのです。
遊びに行った学祭は、大きな総合大学の、メインキャンパスでのものでした。
文系も理系も、男も女も、新入生も四年生も、在学生もOBも、
他大生も近所の人たちも、小中高校生もおじいちゃんおばあちゃんも、
とにかくあらゆる人種が楽しんでいる、異様に盛り上がった学祭だったのです。
キャンパス中、出店は切れ目なく続くは、
昼間から既に酔っぱらっている学生はいるは、
コスプレで歩いている野郎達はいるは、
呼び込みで大声を出して声がかれている劇団員はいるは、
もう、カオスとしか言いようのないエネルギーに充ち満ちていました。
(みなさんの中も、そういう学祭に参加された方がおられると思います)
マイスターが当時在学し通っていたキャンパスでも学祭はありましたが、
野郎ばかりの理工系限定キャンパスで、
しかも1、2年生と3、4年生がキャンパス別で、
おまけに場所が郊外の、アクセスの良くないところでした。
これが同じ「学祭」か?と思うくらい、
自分のキャンパスと、その総合大学では、学祭のエネルギー量に差があったのです。
それで、嫉妬しました。
もはやそれはカルチャーショックというレベルではなく、
「なんで、おれはゲストとして参加しているんだ!
なんで、このイベントを盛り上げる側にいないんだ!」
という、強烈な悔しさを刻み込まれたのです。
マイスターは、自分の通った学校にはすべて満足していますが、
あの、エネルギッシュな学祭を、当事者として体験できなかったことだけは、
今でも心残りです。
オープンキャンパスが、大学の「実力」を見せる場所だとすれば、
学祭は、大学の「底力」を見せる場所だと思います。
オープンキャンパスが素晴らしいと、受験生はその大学にあこがれますが、
エネルギーあふれる学祭には、受験生を「惚れさせる」力が宿っているとマイスターは感じます。
特に、常に満たされていない感覚を抱いて生きている10代の高校生なんかには、
「これに加わりたい!」という、強烈な渇望感をたたき込んでくれます。
「人は論理で納得し、感情によって動く」という言葉があるのですが、
アタマで考えて論理で納得させるオープンキャンパスと、
感情を揺り動かす学祭で両方感動させられたら、
10代の受験生なんてイチコロです。たぶん。
と、ここまでは、マイスターの個人的な想い、学祭へのあふれ出る愛情を語らせていただきました。
これを読んで、
「今まで本学の学祭にあまり関心がなかったけど、今度からは子供連れて遊びに来ようかな」
なんて考える大学関係者が一人でも現れたら、本望です。
さて、ここからはちょっと一緒に考えていただきたい話です。
マイスター、様々な学祭の情報を見比べていて、興味深いことに気づきました。
それは、その開催日程の違いです。
学祭は、ほとんどの大学で行う行事だと思います。
最近は、3日間以上にわたって開催される学祭が多いようです。
さらに学祭の前後には、普通、「準備期間」と、「片づけ期間」というものが付いていますよね?
「準備期間」とは、文字通り、キャンパス内を学祭用に改造するための準備期間です。
学祭の間、キャンパス内にはおびただしい数の貼り紙が貼られ、手作りの出店が建ち並び、教室は劇場や美術館、展示室、売店などに改造されます。
初代学長などの銅像が、学生の手によってウルトラマンやガンダムに化粧直しされてしまう大学も中にはあると聞いています。
そんな大学の教職員は、学祭中、変わり果てた学長像の前を通る時、
「おつかれさまです」
と、思わず頭を下げるとか下げないとか。
今年は「HG」の格好をさせられた挙げ句、「フォー」とか書かれたフキダシ看板を横に立てられた学園創始者などがどこかにいそうで、想像するとちょっと不憫です。
話が脱線してきたので、戻しますが、こうした作業のための期間が「準備期間」です。
で、学祭が終わった後、ビラや看板でゴテゴテにコーティングされたキャンパスを元の姿に戻す作業日が、「片づけ期間」です。
銅像をHGファッションに着せ替えた学生さんも、学祖をキレイに元の姿に戻さなければなりません。
さて、
<準備期間 + 学祭期間 + 片づけ期間>は、すべての授業が休講になる
というのは、多くの大学で共通することのように思われます。
(みなさんのご出身の大学も、だいたいそうだったでしょ?)
学祭期間が3日間、準備と片づけに1日ずつかけたとすると、5日間です。
準備期間を2日確保したり、学祭を3日以上にわたって開催する大学もあると思います。
いずれにしても、5日程度はどう考えてもかかるのです。
大学の教務部門などで働いている方だと実感できるかもしれませんが、
規定の授業日数を確保するのは、けっこう大変なものです。
これだけ連続して通常のキャンパス機能が停止される学祭は、実は、一年間の大学のスケジュールを取り決める人たちにとっては、結構やっかいなイベントでもあるんじゃないかと思うのです。
入試期間も教室は使用不可能ですが、入試のピークは2月前後で、多くの大学では既に後期の授業は終わっています。
学園祭が集中するのは11月で、これは後期の授業の真っ最中。影響は大きいですよね。
で、
学祭のスケジュールを見ていて、おや、と思ったのは、
土曜日や、祝日を「準備期間」や「片づけ期間」に割りあてている大学がある、
ということなんです。
で、こうした日程取りの違いに、授業日数についての各大学の思惑が見え隠れしているってことなんです。
例えば、
今年の学園祭日程が、<11月4日(金)~5日(土)>という大学がありました。
「学園祭=受験生や一般生活者へのアピールのイベント」
という考え方で行くと、この日程はなんだかもったいないと思いませんか。
だって、国民の祝日である3日と、6日の日曜日に、学園祭をやっていないのです。
実質、5日の土曜日しか、社会人や高校生は参加できません。
しかし5日は、競合他社である他の大学も、一斉に学園祭を開催します。
どうですか、顧客をキャンパスに呼び込むチャンスが失われていると思いませんか?
このような日程になる理由は、ひとつ。
3日は祝日ですから、これだと、前後に準備と片づけを一日ずつとっても、
授業は金曜日の1日しか削られないのです。(土曜日の授業がある場合は土曜日も)
つまり、「授業日数に最も影響を与えない日程」という考え方をした結果なんじゃないかと想像がつくのです。
他にも、<11月20日(日)~11月22日(火)>というパターンの大学がありました。
19日の土曜日と、23日の勤労感謝の日は、かなりオイシイ集客ポイントのはずですが、そのまま「準備期間」「片づけ期間」に配当されています。
授業日数のことを考えると、非常に無駄がありません。
ただこの場合も、一般の方が参加できるのは、実質20日だけです。
20日に、もっと魅力的な学園祭が他でやられていたら、お客さんは集まりません。
しかし!
そんな、授業日程への影響を抑える大学がある一方で、
<11月3日(木)~11月6日(日)>とか、<11月19日(土)~11月23日(水)>なんて欲張りな日程を組む大学もあるんです。
こうしたスケジューリングをすると、平日の4~5日間の授業がつぶれます。
その分、あらかじめ後期の授業を早めにスタートさせたり、あるいは遅い時期まで授業期間に設定しておく必要があるので、けっこう大変なはずです。
しかしそのおかげで、キャンパスには大勢のお客さんが呼び込めます。
お客さんを集めようと思えば、授業の日程調整がやっかいだ。
しかし授業の日程を極力崩さないようにすると、お客さんを呼ぶ機会は減る。
つまり、ちょっとしたトレードオフの関係なのですね。
実際には、2005年度の1年間の予定は、2004年度中にすべて確定されているわけですから、学祭による授業への影響もすべて予定通りというわけです。
ですから前年のうちに学祭を長期間開催することを決め、
その代わり、後期授業の開始を例年より1週間早めるとか、
あるいは1週間後ろにずらすといった日程にしておけば問題なさそうなものです。
んが、
「何が何でも、去年までと同じ時期に後期を始め、同じ時期までにすべての授業を終える!」
という日程で全体のスケジュールが組むことにこだわっていたりすると、そんな調整は不可能ですよね。
この辺に、各大学さんの、考え方の違いが隠れているんじゃないのかな、なんて思ったのです。
以上、長くなりましたが、結論としては、
○学祭の開催日程をどうとるかによって、外部からお客さんを呼べるかどうかに大きな差が出る。
なるべく休日に開催した方が、当然、集客力は大きい。
○あらかじめこうしたイベントスケジュールを柔軟に組んでおける大学がある一方で、何年経っても、11月の授業を調整できない大学が(たぶん)存在する。
といったところでしょうか。
これはあくまで個人的な考えですが、マイスターとしては、
学園祭が対外アピールにおいて果たす役割の重要性を考えれば、
後期の授業を1週間早くスタートさせてでも
(あるいは1月、2月にまたがらせてでも)、
学園祭は土日と祝日を確実にまたぐ開催日程にした方がいいんじゃないかと思います。
だって、「人が確実に集まるオープンキャンパス」みたいなものなんですから、その効果を最大限に活かさないと、もったいないではないですか。
面倒くさがる教員にムリヤリ高校訪問させるより、学祭日程を変えることの方が、受験生募集に効果を発揮する場合があるんじゃないか、とマイスターは思うからなのですが。
人によって、大学によって、こうした考え方には違いがあると思いますので、
それぞれ、これがベスト!と思う日程で、学祭を開催していただければと思います。
ただ、
「所詮は学生のための余暇イベント、授業のスキマにやらせればいいさ」
なんて考えるのは、危険だと思いますので、あまりなおざりにするのはオススメできません。
たった一日行っただけの学祭で、「大学生活」の概念がガラッと変わったという人間が、ここに少なくとも一人はいます。
というわけで、学祭好きのマイスターでした。
(来年は10校くらい行きたいなぁ。)
こんにちは。
東京の国分寺にある、国際基督教大学(ICU)の学園祭はご存知でしょうか。
毎年、卒業生にも立派な案内状(パンフレット)が届きます。
1度、そこの卒業生に連れて行ってもらったのですが、それはトテモトテモ楽しかったです。
卒業生もかなりの数がきています。
もちろん地元の子供や家族なども。