修学旅行で大学キャンパス見学

他大学キャンパスを見学し、学食で食べるのが趣味なマイスターです。

自分で言うのも何ですが、かなり安上がりな趣味です。
学生の頃からはじめて、これまで一体どれだけのキャンパスをまわったのか、もうわかりません。

ただ言えることは、
「自分の大学のキャンパスしか知らない」という人よりは、
確実に、大学というものを知っているんじゃないか、ということです。

学生の視点でキャンパスを歩き、学食で食事をするというのが重要です。
実を言うと学生の時は、他大学の講義にモグリで入ったこともしばしば。
それでこそ、消費者視点で見た、大学の雰囲気がわかるというものでありますよ。

(今はもうモグリ受講はやっていません。さすがに色々とまずいでしょうし…。
 でも学食は、つい入ってしまいます。単にお金がないだけかも知れませんけれど)

過去の記事を見ると、今でも研修の合間に、地方の大学に入ったりしてますね…。
成長してません。
むしろ、「プロの職員」になった結果、いっそうこの趣味に拍車がかかってしまったような気がします。
まさに、趣味と実益を兼ねた習性であると言えましょう。
みなさんにもぜひオススメしたい。ただし、警備員にとっつかまったときの責任はとれませんのでご注意を。

万が一、みなさんのキャンパスの学食で、不自然に周りを見渡している大学業界人風の男を見かけたら、それはマイスターかも知れません。
ご迷惑でなければ、そっとしておいてくださいませ。

【教育関連ニュース】——————————————–

■「修学旅行を利用、キャンパス見学、模擬講義…」(読売オンライン:教育)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20051104ur21.htm
■「修学旅行で進路考えて~大学訪問組み入れる高校増える」(読売オンライン:九州発)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_05110825.htm

(注:両方とも読売の記事なので、内容がかなり重複してます)
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そんなわけで今、修学旅行の日程に、「大学キャンパス見学」を組み入れる高校が増えてきているということです。

読売オンラインの、九州版の記事は、わかりやすいですね。
つまり、地方の高校生達に地元以外の大学も選択肢として考えさせる、そのためのきっかけとして修学旅行が使われているってわけです。

文部科学省も歓迎、とのこと。
マイスターも、こうした取り組みは非常に素晴らしいと思います。

もちろん、本来は文化を学ぶ場でもある修学旅行が、進路指導のいちツールとして使われてしまうことに抵抗を感じる方もいらっしゃるとは思います。
しかしそれでも、将来を考えるきっかけとして、得難い体験ができるのでしたら、修学旅行の場を積極的に利用することは、賛成です。

生徒にとっても、
幅広く進路を考えさせたい高校側にとっても、
受験生を募集したい大学側にとっても、
メリットは非常に大きい
のではないでしょうか。

逆に、都市部の有名大学では、修学旅行生をキャンパス内でしょっちゅう見かける、という事態になりますね。
以下の、慶應塾生新聞の記事から、そうした様子が伝わってきます。

■「三田で修学旅行生?」(慶應塾生新聞 jukushin.com)
http://www.jukushin.com/article.cgi?k-20041110

この記事によれば、慶應では毎年数千人規模の見学者を迎えているようです。
修学旅行の他に、「総合的な学習の時間」もこうしたキャンパス見学に充てられているとか…。
(総合学習の時間をこうした見学に使うのは、ちと微妙な気がしますが…)

さて慶應義塾大学、大学としての知名度は言うまでもありません。
大学に進学する高校生なら、「まったく興味がない」という方は地方でもあまりいないでしょう。
誰でも、「ちょっと見てみたいかな」くらいの関心はあるんじゃないかな、と思います。(もちろん、激烈に見たい!という人も)

さらに慶應の三田キャンパスは他の都内観光地からのアクセスもよく、(確か、東京タワーまで歩いていけます…)重要文化財の図書館や、福沢諭吉像など、観光地としても見るべきところが多いです。

このように、修学旅行生を集める要素がふんだんにあるのですね。
数千人を集めるのも、納得です。

となると、もともと日本屈指の観光地であり、同時に日本屈指の学生街である「京都」なんかは、すごいことになっていそうです。

冒頭、読売の記事によると、立命館大学には、年間約1万人の中高生が訪れるとのこと。

-「キャンパスナビゲーター」として登録した約100人の学生が、学生生活や授業について、“生の声”を聞かせながらキャンパスを案内してくれる。同大は「修学旅行で京都に来たら、ぜひ大学まで足を延ばしてほしい」と話している。-(「読売オンライン:教育」記事より)

そうですよね。
当然、そう来ますよね。

大学にとっては、こんなおいしいチャンス、利用しない手はありません。

地方の大学も、修学旅行生を捕まえようと、あれこれ工夫しています。

というわけで、室蘭工業大学の試み。
修学旅行生向けに、模擬講義を受けたり、学生食堂で昼食を取るなど、大学生の一日を体験できるパッケージを作ったそうです。

■「【大学】大学PRに修学旅行生受け入れ 室蘭工大」(毎日教育メール)
http://www.mainichi.co.jp/life/kyoiku/edumail/archive/university/200505/25-02.html
■「室蘭工業大学プロビデンス・プログラム」(室蘭工業大学 入試課入学試験係)
http://www.muroran-it.ac.jp/nyushi/setumei/providence.html

北海道も、修学旅行生、多そうですよね。
でもそれだけで、貴重な修学旅行の合間を縫って、高校生達が大学を訪れてくれるわけではないでしょう。

そこでこの室蘭工業大学は、「理工系」という点をうまく利用して、プログラムを組み立てています。
これなら、

「室蘭工業大学を受けるかはわからないけど、理工系の大学がどういうところかわかるプログラムということだし、理系の生徒にとってはいい経験になりそうだ」

という魅力が生まれますよね。
ユーザーのニーズを理解した、とてもいい企画であると思います。

東京や京都、大阪などにある大学だって、修学旅行生はわんさか全国から集まってきているでしょうから、
本当は工夫次第で、室蘭工大のように、生徒達を取り込むプログラムができるはず。

なにごとも工夫なのです。

ちょっと話がそれますが、マイスターも高校生の時、「大学キャンパスを見に行く日」がありました。

マイスターの高校はとある大学の付属校だったので、当然まず、その大学を学校主導で見にいくわけですね。
ちゃんと、大学の教員や学生が説明をしてくれて、大いに参考になりました。

で、その他に、「自分で好きな大学を勝手に見てこい!」という指導もあったのです。

○なるべく私服で、
○大学生のように振る舞って、
○好き勝手見てこい。
○可能なら、授業にモグれると、実態がわかってよい

という、何ともいい加減な、しかし真理をついた指導でした。
これなら、大学の本当の姿が見えるってもんです。
なお大学関係者に捕まった時の言い訳用として、高校の校長名が入ったプリントも各自に配られました。

「この生徒達は間違いなく本校の生徒であり、受験生である。
 大学のありのままの姿を体験するよう、自主的な見学を指導している。
 ついては、よろしくおとりはからいのほどを」

みたいな内容でした。ウチの高校、学校ぐるみで確信犯だったわけですね…。

友人につきあって、某私立W大学理工学部を見学したときのこと。
自分たちで歩き回れるところはだいたい見終わって、帰り際、念のために受付でこのプリントを出してみたのです。
パンフレットのひとつももらえればいいな、という程度の思惑でした。

そしたら、(おそらく入試部門の)課長さんクラスの人が奥から出てきて、いくつか質問され、プリントのコピーをとられました。
で、その後、なんと、私達2人のために、1時間つきっきりでキャンパスの貴重な実験設備群を案内してくれたのです。
地下奥深くの研究室や実験棟で、数億円の研究設備などを見せてもらいました。
一緒にいた友人があまりの対応に感激して、思わずその大学を第一志望にし、結果的に一浪するハメになったのはヒミツです。

さすが私立大、受験生の対応がすごい、とそのときは思いました。
はからずも「ありのままのキャンパスの姿」と、大学が案内してくれる「とっておきのキャンパスの姿」を両方見ることができ、かなりその大学の印象が良くなったのを覚えています。

話がちょっとずれたかも知れませんが、大学キャンパスを訪れる高校生は、宝物なのです。
特に修学旅行生は、遠方から期待を持って来てくれる大事なお客様。何よりも大切にしましょう。

大手予備校も、大学と共同で、キャンパス見学プログラムを作っているようです。

■「早稲田塾 フォトギャラリー」(早稲田塾)
http://www.wasedajuku.com/gallery/photo_album/photo_album.asp

模擬授業もあり、充実したプログラムのようですね。さすがです。

大学側も、ただ待っているだけではなくて、旅行代理店の営業マンばりに工夫をしてみてはいかがでしょうか。

アメリカでは「合格したら入学する」という確約をとった受験生に対し、飛行機代などを出してキャンパスに招待、寮に数泊して授業を体験させる、なんて取り組みもあるそうですよ。

以上、修学旅行で大学キャンパスを見学するという動きをご紹介しました。

ちなみに、マイスターは高校の修学旅行が北海道で、自由行動に北海道大学のキャンパス見学を組み入れましたが、クラーク博士の銅像の前で写真を撮って満足し、ラーメンを食べに行ってしまいました。

それは見学じゃなくてただの観光だったんじゃないのか、と思った方。あなたは正しい。

大学ツアーは、ただの観光にならないように、気をつけましょう。

以上、大学キャンパスウォッチャーのマイスターでした。

2 件のコメント

  • 私は小中高と大学見学なんか行ったことなかったので、この記事読んで今の修学旅行をうらやましく思いました。高校で大学見学しときたかったな~。
    その反動か、マイスターとはちょっと違った手法で私も各大学に潜入してます。
    学園祭に。
    学生の時に学祭委員だったので、思わずスタッフジャンパーを着た学生を見ると無視できません。学祭もその大学の色が出ていて、校舎・学食と同様に面白いですよ。

  • こんにちは。マイスターです。
    学園祭もいいですね~!
    私もこの11月は、「興味はあったけど今まで行った事がなかった」という、とある大学の学園祭に行きます。
    今から、とても楽しみです。