大学職員として1年働きました!

マイスターです。

さて、今日は珍しく私事を!

この11月1日をもって、マイスター、

大学職員2年目に突入です!

っていうか逆に、昨日までは、まだ1年経ってなかったのですね…。
もう3年、いや5年くらいいるような気になってました。

この不況期に、1年クビにならなかっただけでも奇跡…と思うのですが、
転職したり、辞めたりする人間が極端に少ない教育業界。
そんな業界のみなさんには、このすごさはきっとわかってもらえまい。
世の中では、1~2年以内に転職しちゃう人がいっぱいいるのですよ?

同期で(11月に)入ったもう一人も、まだ元気に働いています。
周りを見回してみても、ここ数年、辞めた人はいないらしいです。
つまり離職率0%。これはまた、ビックリですよ!

何しろ前の会社では、入社当時、新入社員はマイスターともう一人いたのですが、
その人は6月の時点で突然失踪しましたからね…。
(その後、辞表がその人の実家から宅急便で送られてきました…)
つくづく、最悪の社会人スタートだったんだなぁ、俺。

その後、結局マイスターも転職してしまったわけですが、
そんなこんなでその会社、今でも取締役を除くと、驚異の離職率100%をキープ中です。はい、創業者達しか残らない会社です。
自分もしっかり記録更新に貢献してしまったわけで、すみません残された皆様
マイスターは大学業界で元気にやっていますよー。

まぁその会社は極端な例としても、
大学職員という職種はやはり一般社会から見れば特殊なんだなと、
1年働いてみて、思うわけであります。

というわけで!

普段は、いちおうデータをあれこれ引っ張ってきたりしますが、
今回は大学職員という働き方について、1年間働いてきた上で感じてきた個人的な印象を書いてみたいと思います。

なんていうか、第一印象を忘れないように書き留めておくってのも、後々のために有意義じゃないかな?という程度のことです。

民間企業で働いている方に、大学職員ってどう?と聞かれたときに、
どういう風に説明するか、というメモ書きでもあります。

(ただ、あくまでマイスターの個人的な、印象というか感想ですので、すべての大学職員がこうであるとは限りません。
それにマイスターの労働観は、上述したような、ちょっと極端な環境を皮切りにして作られているものですから、これが民間企業出身者の標準と思っていただかない方がいいです。念のため)

名付けて!

「マイスター的! 

 ザ・大学職員の10大ビックリ!」

1:基本的に、定時に帰れてビックリ

「9時5時」といいながら、翌朝5時まで働き続けるハメになった…という人はあまり見ません。
職場に寝袋を置いている人の話も聞きません。

夜勤の時、夜の22時くらいになると、もう広いオフィスで残ってるのは自分一人です。
というか、18時前にほぼ全員帰っちゃうフロアもあったりします。

心身の健康維持には最適。

また、アフターファイブを利用して勉強し、キャリアアップしたい人、
仕事以外に大きなことをしでかしたい人、
毎日ブログの更新に追われたい人などにとっても、有効です。

うまくすれば、日本で一番勉強できる仕事環境にあると思います。
これは、ビックリするくらい恵まれた環境です。素晴らしいメリットですね。

2:病欠や有給が優しく認められてビックリ

死して屍拾う者なし…という方針の会社もあるのに。
しかもマイスターの職場では、
子供の急な熱とか、
本人の急な熱とか、
子供の運動会とか授業参観とか誕生日とか、
そういう理由の有給取得にも、非常に寛容です。

ただこれは、以下でまた述べますが、

・仕事の責任が職場全員に分散されているので、誰かがいなくてもしのげる
・組織全体に「あせり」がない

という2点によるところも大きいと思うのですがどうでしょうか。

3:あせりがなくてビックリ

見てると、こちらがあせるくらい、みなさん「あせり」がありません。
仕事に関しても、人生に関してもそうです。
これは、もしかすると公務員関係と共通の特徴かも知れません。

学生がガンガン減っていても、自分の収入がガンガン減ったりはしません。
「ボーナスがちょっと(0.1ヶ月分くらい?)減ったなぁ」
「まぁ、少子化だもん、しょうがないさぁ」

このくらいのモンです。

こんな大学の氷河期に、誰も自分の大学が本当につぶれるなんて考えていないのです。
10年後のことを考えさえしなければ、ちょっとしたユートピアです。

30人に1人くらい、「これはイカンぞ!」と正しくあせっている人を見ますが、
それでも周囲がまったくあせらないというのが、いっそう見ていてあせるところです。(ややこしい)

4:仕事上の責任なくてビックリ

正確には、
「若手に責任がない」
「事務職員に責任がない」

の2つです。

基本的に、アタマを使う仕事は全部教員のものです。
責任も、教員がとります。
むぅ、大学「事務」職員という名前は伊達じゃないッス。
「教員の手足に徹していてビックリ」くらいの光景もたまに見ます。
そういうときは、「もっと教員に反抗しましょうキャンペーン」を一人で決行したくなります。

5:組織ガバナンスうやむやでビックリ

1年働いていますが、会議の議事録が作れません。

だって、会議が終わっても、

「誰が」
「何を」
「いつまでにやる」のか、
「その責任を誰がとる」のか、が、

端で見ていて、まったくわからなかったというのが、ほとんどなんですから。
「後ほどご調整ください」という言葉は、会議の場で使っちゃダメだと思うのです。
極力、誰の責任も生み出さないようにコトを進めるのが大学流なのかなぁと思います。

しかも、無意味に長いし。
早く終わると、「もう少し時間ありますので、少々ご歓談を」とか、意味わからないことをやるし。

「俺はコレが会議だとは認めなぁぁぁい!」

と会議室のすみっこで叫びたくなることもしばしば。
無論、実際には心の中で叫んで終わりです。

あと、上のビジョンが現場に下りてこなかったり、
隣の部署が推進する企画がよくわからなかったり、というのも、マズイように思います。

トップの声を現場に伝える、というのは、いまや生き残る企業の大原則のように言われているのですが、大学でトップの声を知るのは、よくわからない学内誌や広報誌に書かれた、季節の挨拶みたいな文章だけだったりして、どうにも動きにくいです。
(あれ、マイスターだけ?)

6:ミッションがあいまいでビックリ

プロジェクトを行う時、そこにはかならず明確な目的と、
達成すべき目標(数値で表せるもの)があるはずです。

んが、どうも、こうしたミッション設定があいまいに済まされる傾向を感じます。

「本学をもっとアピールしよう!」
「もっと派手なことをやろう!」

みたいなレベルの目標設定が多いです。
例えば民間企業なら、

「入試競争率を去年の2倍にする」
「○○地区からの受験希望者を全体の3割まで広げる」
「お問い合わせを月100件受けるような広報を行う」
「受験偏差値を3上げる」
「履修登録の苦情をゼロにする」

という設定の仕方をします。
これなら、達成できたかできてないかが一目瞭然ですし、リーダーの責任も明確ですからね。

こういうのを意図的にしない風土は、転職直後も今もただただ驚きです。

7:キャリアが積み上げられなくてビックリ

・職場のローテーション制で専門性つかず
・仕事で企画力や戦略立案能力を求められない
・若手は、手足に徹するしかない
・大学冬の時代

という様々な条件が出そろった結果、残念ながら人材市場における大学職員の価値は相~当に低いポジションになっていると思います。
マイスターは

「この大学がつぶれたらおれはどうなる!?」

といつも不安ですが、同じように心配している人はあまり見かけません。
みなさん、口では

「いやあ、ウチもやばいんじゃないの?はっはっは」

なんて笑いあってますが、心の奥底ではつぶれるはずない、まぁなんとかなるだろうとタカをくくっておられるような気がします。
これまた、ビックリです。

8:同業他社との横のつながりにビックリ

この一年間、大学職員として何回、他大学との合同研修に参加したか。
どれだけ、ライバル大学の方の名刺を受け取ったか。
間違いなく、他の業界にはない特徴です。

メリットは非常に大きいので、積極的に活かしていきたいです。
何度かご紹介した「大学職員.network」もそうですが、こうした大学職員同士のネットワークは、日本の高等教育を変えていく力の一つになるように思います。

ただ、「つながっている」ということだけで満足し、安心してしまうと、
かえって危険な事態を招きかねませんので、くれぐれもご注意を。

9:給料よくてビックリ

大学職員は、業界全体として、給与水準は高いです。
間違いなく、高いです。
しかも、年功序列・終身雇用をかたくなに守る組織の多いこと。

下手な有名メーカーなどより、ずっとローリスク・ハイリターンだと言えます。
(ただし組織がつぶれたら一転、就職先探しにとても苦労するはずです)

福利厚生は大学によりますが、これも全体的に悪くはないはずです。

10:居心地よくてビックリ

以上、結局のところ、大学職員というのは、職場として

非常に居心地がいい

ということがわかりました。
ベンチャー精神あふれている(つもり)のマイスターでも、

「こりゃ定年までいたいわぁ」

と思ってしまうほどです。

ただ、ここまで読んでいただいたみなさんはおわかりと思いますが、
どうもこの居心地の良さ、手放しで喜んでいいものでもなさそうです。

バブル崩壊よろしく、いつかこの心地よい揺りかごがはじけてしまったら、
この居心地いい世界も終わりです。

他の業界がビックリするくらい、メリットは多いのですから、
それを自分が将来生き残るために使ってみるといいかも知れません。

うまくすれば、外資系も真っ青のスーパーリーダーにだってなれる…と思います。

以上、個人的なメモ書きでした。

普段、高等教育についてあれこれと細かいこと考え、感じる日々を送っていますが、
以上に挙げたような内容こそが、大学職員という仕事を最初に見た時の、自分の第一印象なのです。

この先、大学でどのくらい働くのか皆目見当もつきませんし、
働いていく中で、職業観等も変わってくのでしょうが、
だからこそこれらの第一印象は、大切にしていきたいのです。

たぶん、これが、私のスタート地点なのだと思います。

なお、このブログも、毎日更新を続けてはや半年くらいになります。

最近は毎日、コンスタントに数百のアクセスがありあす。
ありがたいことです。
どうやら全国各地、50以上の大学から、継続的に関係者の方々がアクセスしてくださっているようです。
(アクセスログに「~ac.jp」とあるので…あ、もちろん、どこの誰かなんてことまではわかりません、ご安心を)

これからも、ブログを書きながら、大学職員として働いていくわけですが、

引き続きこんな私をどうぞよろしくお願いいたします、とご挨拶するマイスターでした。

9 件のコメント

  • すごいね、6位。
    最初トップテンをとばしてさがしたので、
     アレッ 無いやん、と思ってしまった。

  • 11月4日現在、いつの間にか、4位にまで浮上していました。
    過去最高の順位です。
    これも皆様のおかげです。
    ギフレッドも貢献してくれている気がします。

  • Berkeley SQの住人と申します。
    ちょっと前までこの名前でBlog開設していたのですが、現在休眠中ですみません、書き込みだけで失礼します。私の職場も大学キャンパスです。
    大学職員として26年働きました。私の場合、「10大びっくり」の内、9番目の給料がいい(メッチャいいです)を除いて、すべてNonです。バリバリの民間企業並みの厳しさです。会議なんかでは、真剣が本当に飛んでいるかのごとく、「覚悟して」出席しないと、下手すると斬られます。これが続くと、即降格、給料は減る、年功序列は有名無実の下克上の世界。これが普通だと思っていままでやってきましたが。

  • Berkeley SQの住人さま:
    コメントありがとうございます、マイスターです。
    やはり、そうした大学もあるのでしょうね。
    本来は、そのくらいの競争がないと組織は活性化しないと思うのですが、私が知る限り、斬り合い&下克上が頻繁に行われている大学職員の職場は、まだまだ少ないようです。
    ただ、優れた大学改革をどんどん職員主導で進めているいくつかの大学を見ると、「おそらく、あそこは民間企業並みに厳しく職員を鍛えているんだろうな」と思います。
    休眠中とのことですが、そのご体験、ぜひ、Blogでご紹介していただきたいです! 私も、詳しく知りたいです。

  • 全く同感!
    自分は嫌です。大学職員。だけど自分も4月から3年目・・。辛い・・。自分がどんどん馬鹿になってずるい人間になっているのがわかる。。

  • 大学職員 確かに
    仕事の割に給与高いですよね
    ヘタな大手企業よりよっぽど高い
    そしてどんどん世間知らずになっていくよね

  • 同じく大学職員です。
    そんないいとこあったら行きたい!
    てなくらい契約職員、薄給、激務ですよ!!!
    下手したらすぐきられます。
    専任の事務職員さんはもう少しゆとりがありますが、
    私大の職員の大半は非正規雇用で入れ替わりがかなり激しい。
    美大職員という特殊な環境もありますが、
    うちのスタッフが展示の設営から広報デザインまでなんでもやって、しょちゅう午前様かつ、残業代なしです・・
    夏休みは計3週とれるのが唯一の救い。

  • マイスターさんの大学がうらやましいです。
    広報部署にいますが、ノルマはきっちりありますし、達成できなければ減俸です。