ニュースクリップ[-10/2] 「『教育基盤整備、国の責任』…中教審部会長案大筋了承」ほか

クールビズは9月いっぱいまで終了、と定められていたことを、9月30日に偶然知ったマイスターです。

もう少しで、オーバーランしてしまうところでした。
あぶねぇ、あぶねぇ。

しかし、今日は暑かったですね。
期限を決めてもらった方が、クールビズを導入しようとするサラリーマンのみなさんは気分的に楽なのかも知れませんが、こんな暑い日が来ると、ネクタイをもう少しはずしていたい気もしますね。

【教育関連ニュース】——————————————–
■「『教育基盤整備、国の責任』…中教審部会長案大筋了承」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050930ia23.htm

■「国立大資産、算定ミス700億円 修正後、171億円増」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/1001/002.html

■「科学・技術これだけは知って 大人に『リテラシー』を」(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sci/20050914/ftu_____sci_____000.shtml

■「国語テスト、消える長文 著作権理由で訴訟も」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200509250049.html

■「ネットで教育修士号 岐阜大、現職教員対象に全国初」(Benesse教育情報サイト)
http://benesse.jp/news/asahicom/TKY200509260246.html

■「中高生、親・先生には満足、自分に不満 ベネッセ調査」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200509260182.html

■「『コミュニティ・スクール』を知っている人 — わずか7%」(Benesse教育情報サイト)
http://benesse.jp/enquete/050928.html
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教職員給与は、今後も国が支出することになりそうです。
中央教育審議会義務教育特別部会、鳥居泰彦部会長の私案が大筋了承され、10月の最終答申の方向性がほぼ定まりました。
「国の責任で義務教育の目標を設定し、実現のための基盤整備をする」、ひいては「教職員給与の半分を国が支出する義務教育費国庫負担金を維持することが国の責任を果たすことにつながる」という、義務教育の財布を中央政府にとどめる考えを示す一方で、
「市区町村、学校がより大きな権限と責任を担うシステムに改革」することも必要、「教育の実施(プロセス)を地方・学校に委ねる」など、地方への配慮も示しています。
これまで、地方の主張を通す「政治的駆け引き」として、地方六団体(全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国長村議会議長会)の半数が部会を欠席し、その責任をとって総会委員が辞職するなど、国と地方との間で綱引きが行われていたようです。
しかし今回の私案承認を見る限り、「教職員給与」という砦は崩れそうにありません。地方は今後、どう出るか、注目です。

・中央教育審議会委員の選任について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/sonota/05070801.htm

国立大資産、算定ミスが700億円に上った、とのことです。
経理担当者の単純ミスや理解不足、それに加えて例年より1カ月以上早い4月初旬に資産の増減を国に報告することになり、点検が甘くなった、とのこと。
企業なら大問題です。

アメリカでの科学リテラシーの目安「すべてのアメリカ人のための科学」が、文科省によって和訳されます。
2001年の文科省科学技術政策研究所の調査の結果、日本の大人の科学技術への理解度は、日欧米の17ヵ国中、13位。
危機感を持った文科省が、米国科学振興協会の作成した同書の日本版作成を決定したそうです。
この本は「分野ごとに、子どもが高校までに習得すべき知識や態度を示している」ということですが、果たして活用されるかどうか。
記事は、「(日本では)科学技術の知識など不必要だと考える大人が少なくない現実もある。」と指摘していますが、確かにマイスターの周りにも、「俺、文系だからさ」といって、科学知識のなさに胸を張る(?)大人が少なからず、います。

ただ、アメリカの科学教育にも、悩みがないわけではありません。
・進化論を教えないアメリカ
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/22652766.html

国語のテストで、長文が掲載されない事態が起きています。
出版社が発行している小学生向けに作る教科書準拠型のテストや、大学入試の過去問題集で、国語の長文が「割愛」されたり、「教科書を開いて答えましょう」といった扱いになっているそうです。
長文の作者である作家らの利用許可が得られず、著作権侵害になってしまうというのがその理由。
知的財産法の専門家は、「教科書準拠テストに無断で作品を使用することは違法。著作権者が掲載を拒む禁止権をなくし、一定額の補償金を支払う制度を導入すればよいのでは」と提言。マイスターもそう思います。
長文読解で得られる論理力は、学力の基本とも言えるもの、一刻も早く、制度の不備を是正して欲しいです。

ただマイスターは個人的に、小説の読解問題の
「主人公はこのとき、以下のA~Dのどの気持ちだったでしょうか」
という設問に疑問を感じていました。(作家の立場からすれば、正解を一つに決められてしまうものではない気がします)
作家がテストへの掲載を拒む理由のひとつとして、こうした設問への疑問や反発があるんじゃないかなと、勝手に想像しています。

小学校から高校までの教員を主な対象としたインターネット大学院が開設されます。
2004年度「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」に採択されている、岐阜大学教育学部の試み。
「カリキュラム開発専攻」を2006年度4月から、「学校教育専攻」と「教科教育専攻」を2007年度からスタートさせるとのこと。
教育学部としては、全国初のインターネット大学院です。
アメリカなどでは、インターネットを使って現職教員の技術向上をサポートするNPOなどがありますが、今回の岐阜大の試みも、そうした役割を担う存在になっていく可能性がありますね。

・アメリカの教育NPOは、スゴイ
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50033823.html

友達、家族、教師に対してはおおむね満足、自分のことは不満、そんな中高生です。
他人に対しては、「迷惑をかけ合うところまで踏み込まないから摩擦も起きない」のかも、という指摘がされています。
身近な人には大人のように気を遣う、現代の若者達。
一方、自分自身に対しては、大きくなるにつれて自信を失う傾向があるとのこと。
こと成績については、学年が上がって塾に通うようになると他人との比較で客観的な成績がわかり、それが自己評価を下げる要因になっている、
という分析です。
自分の「性格」についても、小学生は半数近くが肯定的であるのに対し、中高校生は3割台に下がるそうです。
これらの調査結果をどうとらえるか。

文科省が進める「コミュニティスクール」、10人に1人も知らず、です。
Benesse教育情報サイトが主催する「教育発見隊」メンバーのほか、進研ゼミ小学講座が主催する「まなびのひきだし.netモニターサイト」のモニターに回答してもらった結果とのこと。元々、教育の動きに特に関心が高いと思われる方々への調査結果がこれでは、残念ですが、全国民の認知度は決して高くないのでしょう。

学校の運営や教師の活動に対して不満、不信感が広がっている昨今ですが、学校と地域がより深く結びつくことに対して、
「よいことだとは思うが、それほど関わりたくない、または関われない」と回答された方が39%。
関わりたくない理由としては、

○働いているので、参加したいができない部分もある。
○仕事をしている母親が多く、PTAの活動でさえ参加できない人が多い。限られた人間しか関わらないような活動なら意味がないのではないかと思う。
○親同士の派閥やグループに巻き込まれたくない。
(以上、Benesse記事より)

などが挙げられているとのこと。PTA活動に対する意見と似ている気がします。
コミュニティスクールの場合、保護者にはPTA以上の関わり合いが期待されると思われるだけに、これらの壁は高そう。
個人的には、教育は学校に「丸投げ」できるものでもないと思いますし、教育の責任は親と学校が共同で担っていくべきものと思っていますので、保護者の前に立ちふさがるこうした精神的、時間的な「参加障壁」を取り除くために、さらなる施策を求めたいところです。

いよいよ10月。
段々と涼しくなり、後期も本格始動して、大学は落ち着きを取り戻してきます。

転職して大学職員になったのは昨年11月。
早いものだなぁ…としみじみ思う秋の初めのマイスターでした。