受験生向けの説明をする教員は、厳選すべき!

学内イベントであまった弁当を率先してキープする男、マイスターです。

物価の高い港区一人暮らしにとっては、まさに、死活問題。
最近じゃ、余った弁当が、自然に自分の机に集まってくるようになりました。
情けないけど、うれしいです。

さて、夏から、今頃にかけて、

「高校生説明会」

や、

「オープンキャンパス」

等のイベントがありますね。

こうしたイベントも、情報を媒介させるものという点で、広義の「メディア」だと思います。

一年を通じ、webサイトや、リーフレット、大学案内、など、様々なメディアを通じて、大学と受験生の間で情報のやり取りをしているわけです。
で、それぞれのメディアには、それぞれの特性があるわけで、
メディアに適した役割を持たせてあげると、とても強力な効果が生まれるのですね。

その点、オープンキャンパスや高校生説明会は、
受験生と、大学が、最も密にコミュニケーションできる手段です。

対応できる人数は多くありませんし、双方ともに手間がかかるコミュニケーションですが、

 情報の密度、
 情報の双方向性、
 与えるインパクトの強さ、

など、他のメディアではできない優れた面を多く持っています。

何より、4年間を過ごすキャンパスを実際に見られるわけですから、
受験生にとっても、期待に胸を膨らませて行く、大事なイベントであるわけです。

そんなわけで、どの大学も、オープンキャンパスは重要視しているはずです。
参加者の数に一喜一憂し、高校生の意見を集め、受験生確保の戦略を練る。
そんな情報収集の場にもなっています。

さて。

オープンキャンパスでは、

 学生、

 教員、

 事務職員、

など、様々な大学関係者が、受験生に接触しますよね。

マイスターの大学では、職員の大多数が参加します。
進路相談も受けますし、学生生活や、奨学金や、入学試験などについて、詳細な受け答えができるような態勢で臨みます。

この点は、あらゆる大学さんで同じかな?と思います。

学生さんも、多くの人数が、関わります。
研究室に所属している3、4年生、大学院生が、学科内容の説明要員として配置されます。
その他にも、学外で成果をあげた学生サークルが展示をしたり、会場の準備や案内をしたりと、大活躍です。

んで。

オープンキャンパスで最も重要な役割を担うのが、教員のみなさまですよね。
メインイベントは、やはり「学科説明会」です。

受験生が最も知りたいのは、

「ここで何が勉強できるんだろう?」

ということですから、当然、教員の出番です。
学部学科の内容を、学問領域も含めて広範に、かつ詳細に解説できるのは、唯一、教員だけです。

大学で取り組んでいる最先端の研究成果や、チラリと見える学問の奥深い世界は、大いに受験生達の興味を刺激することでしょう。

マイスターも、自分の勤務する大学のオープンキャンパスで、各学科の教員達が説明するのをのぞいていましたが、いやはや、非常に説明のうまい先生方がいらっしゃるものです。

授業で教えるのと、
受験生向けに学問の面白さや大学の楽しさを伝えるのは、
似て非なるものだとマイスターは思うのです。

授業ももちろん大変でしょうが、高校生を魅了する学問の紹介、というのも、かなりの技量と熱意が必要です。
場合によっては、学会発表より難しいかもしれませんよ。

そう考えているマイスターですが、何人かの教員の見事な説明に、おぉ~、これは、と感心しました。

マイスターは広報プロデューサーでしたので、業界で、口のうまい人を大勢見ましたが、本学の教員も、負けていません。

周到に映像を編集し、様々な実験や学生プロジェクト活動の映像をまとめ、かつ、学問の紹介もあわせてしている。
就職先のアピールや、OBの声を紹介することも忘れない。
(ついでに、学問の厳しさをチラ見せすることも)
実に手間隙かかっています。熱意が伝わってきます。

むぅ、
やるな、先生。

マイスターですら、入学したくなりました。

…が、一方で。

どーーーーーーーーー考えても、

「誰も、こんな説明でこの大学に来たいと思わないよ…」

っていう、困った密室の数十分間を展開するセンセイも、いるわけです。

その特徴は、例えば

○アピールがヘタすぎる。

○しゃべり方にもやる気がないし、伝えている内容も、的外れ。
 ただし妙なところだけやたら詳細で正確。
 つまり説明の時間配分が偏っている。

○スライドはやっつけ仕事で作ったのが明らかで、文字ばかり。

○いまどきOHPシートを使う。

○教卓にもたれかかり、ポケットに手を突っ込んでいたり、
 肘を突いて座って説明したりと、姿勢が悪い。

○仏頂面。

○聞いている受験生達が、退屈そうな顔をしているのに気づかない。

○予定時間よりずっと早く終了する。

などなど。
あげればキリがありません。
上記の全部に引っかかるようなひどいセンセイはいなくても、2~3項目くらいなら当てはまるぞ、という人を数人見ました。

説明会が終わって出てくる受験生達の顔を見れば、説明会が成功したか失敗したか、一目瞭然です。

「わくわく感」が出ているのは、すぐわかります。
笑顔だったり、友人や、一緒に来た保護者とあれこれ話しながら歩いていたり。
「次、どこ見ようか~」という、前向きな会話なんかも聞こえます。
講師の教員が質問を受けているのも、成功のバロメーターです。

一方、おそろしいことに、「失望感」も丸分かりです。
「わくわく感」の反対の状態で教室から出てきます。

マイスターは思う。

普段の授業はともかく、こうした場には、向き不向きがある。
受験生に説明するのが下手な教員は、説明会に出さない方がいい。

受験生は、どんなセンセイがいて、普段どんな授業をしているのかを、オープンキャンパスで知ろうとするわけですから、上記のようなひどい説明をしたら、致命的です。

ブランドイメージ、わざわざ壊してどうする。
若者の期待、裏切ってどうする。

教室の外からのぞいていて、怒りすら覚えます。
誰だ!こんな講師を連れてきたのは!と。

しかし。

実はこうした説明をする教員って、

学科の中で、持ち回りで担当しているようなのですよ。

「去年はタカハシさんにやっていただいたから、次はサトウ先生かな」

みたいな決め方ですね。

たまたま、得意な先生が担当する番だった、とか、
うまい先生が毎回こうした説明を買って出てくれるようになっている、とか、そんな場合は、いいのです。

でも、明らかに、ローテーションで仕方なく説明会に来ているといった教員も、いくらかの確率で、出てくるわけです。

悪い条件が重なると、上述したような、ひどい説明会になるわけです。
実際、年に何回かは確実に、そんなひどい説明会になっているわけです。

これ、とんでもないリスクです。

最も接触密度の高いメディアで、こんなリスクをほっといては、いけません。

それまで受験生集めにつぎ込んだ資金が、ヘタすればわずか数十分でパーになるんですからね。

パンフや車内中吊り広告に力を尽くしておいて、こんな大事な部分を適当にやってどうする。

マイスターに言わせれば、
これは株主総会の説明役を、社内のアミダくじで決めている企業みたいなものです。

広報や入学を仕切る部門が、教員を指名すればいいと思うのですが、
「どの教員が説明するか」には、職員サイドは口出しできないシステムのようなのです。
学科の中のことは、学科で決める、と。

マイスターが思うに、たぶんこれ、本学だけじゃないでしょう?

きっと、オープンキャンパスの説明役を、
教員の持ち回りでやらせている、って大学、いっぱいあると思います。

説明会が始まるまでの準備には職員も関わるけど、
説明会が始まったしまった後の内容は、教員に全部任せる。
職員は、口出ししない。

そんな暗黙のルール、あるでしょう?

それ、絶対に、イヤイヤ説明させられている、やる気のない教員がいますよ。
で、そのあおりを食って、失望感を持って帰っている受験生がいます。
絶対に、少なからず、います。

でも、少なくとも広報や、受験生獲得を任務とする入学関連部門の方は、教員のプレゼン内容に対してもチェックをするべきだとマイスターは思います。

メディアはすべて、「PLAN→DO→SEE」です。

学科説明会もメディアであるなら、効果測定と、詳細な内容検証が必要なんです。

「受験生を獲得する」という目的のために、教員の交代を要求したり、説明内容に対していくらかの要望を出したりしていいんじゃないか、というのがマイスターの考えです。

学科説明会は、普段の授業と違います。
多くの大学で、教員も職員も、どうも、そのあたりをごっちゃにしているような気がします。

でも、そんなことを職員から言える大学は、残念ながら日本にはそう多くないと思います。
職員が遠慮して行動できなかったり、教員が「ワタシがしゃべる内容に口出しするな!」なーんて反発したり。

その辺を改善できるかできないかで、その大学の「改革本気度」も計れるような気がします。

こうした問題を扱うのは、日本の大学では長らくタブーだったと思うのですが、目的達成のために力を発揮できる強い組織、強い大学を目指すなら、避けて通れない道だと思うのです。

「失望感」を背負って帰る高校生のことを思うと、そう考えずにはいられないマイスターでした。

2 件のコメント

  • うちの学校でも能力のある教員はあらゆる場面に駆り出され,能力がないとできない仕事に優先的に当てられます.
    入学希望者確保が大切だと分かっていながらもそこに人員がさけないのは,それだけ不良な人材を抱えてしまっている,ということでしょう.
    私も学校説明会に駆り出されました.適任だと思われたのか,それくらいやってよ!ということなのか....

  • てるぞう様、いつもコメント、ありがとうございます。
    マイスターです。
    確かに、能力のある教員が重宝されて、あらゆる仕事が集中してしまうというのは、あるようですね。本学でも、学科によっては、そういう教員がいるようです。
    本学は今、入学者を集める「攻め」のポジションに、そうした人を充てたいような状況なのですが…学内の委員などもありますし、どちらも重要ではありますので、なかなか、思うようにはいきませんね。
    学校説明会、再度呼ばれたら、きっと、「あの先生は適任だ!」ってことですよ~。
    企業の場合、学生向けの就職説明会に呼ばれて講演する社員は、社内のヒーローみたいですよ。てるぞう様も、せっかくですのでひとつ、かっこいい研究者っぷりを若者達に見せつけてあげてください。(そのうち、説明会がやみつきになるかも?)