昨日の台風では、授業が中止になった学校も多かったんじゃないでしょうか。
この間の地震では、頼みの都営地下鉄の駅員が、
「もう今日はほぼ確実に動きません!」
と、20時くらいの時点で早くも宣言しており、あまりの漢っぷりがかえって新鮮だったマイスターです。
天災の対策ってたいへんですね。
キャンパスで対応に追われたみなさま、おつかれさまでした。
【教育関連ニュース】——————————————–
■「今週の指標:教育支出増加の背景」(内閣府 参事官 青木紀和氏)
http://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2005/0704/637.html
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内閣府の参事官が書かれたレポートです。
青木氏は経済財政分析-総括担当とのこと。
「本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない」
とのことですので、ご注意を。
このレポートは、家計調査で得られた日本全国の教育支出を、
「世帯あたり」という視点で分析しています。
なので、データは基本的に、「日本の家計の全体」を分析した値となっています。
レポートの要点をまとめると、以下の4点になりますでしょうか。
●子どもが減れば、家計に占める総教育支出は減るはず。
しかし少子化にも関わらず2002年度以降、家計の教育支出が増加に転じている。
●教育支出が増えたのは、学校に支払う授業料等の増加によるところが大きい。
次いで、補習教育(塾、予備校など)への支払いも教育支出増加に寄与している。
●私立大学への支出が日本全国で増えたことが、授業料等の増加の、最も大きな要因である。
(私立高校や私立中学への支出も増加しているが、全国的な支出増加の要因としては、私立大学への支出増の方が影響がずっと大きい)
●補習教育への支出が伸びた大きな理由の一つが、
幼児・小学校時点での、塾などに対する支払い増である。
次いで、中学校時点での、塾などに対する支払い増である。
個々の家庭での教育費が、増加しつつある、
というのは、おそらくみなさん共通意識としてあったんじゃないでしょうか。
「昔は中学校なんて公立が当たり前だったけど、今は私立が多くて大変ねぇ」
とか、
「みんな大学受験のために予備校に行くから、親は大変ねぇ」
とか、こんな会話、普通に聞かれますね。
確かに日本全国で見れば、教育にかかるお金は増えています。
でもその主な理由は、高校生の塾費用や、私立中学・高等学校の学費ではなかったのです。
子供を私立大学に通わせる親が増えた、というのが、最大の理由なんです。
昨日の記事でも触れましたが、ここ数年、短大は減っています。
4年制の私立大学は、短大からの転換もあって、増えています。
2年制短大に行く学生が減って、私立の4年制大学に通う学生が増加した。
これが、学費増加の大きな原因になっているというわけですね。
国立大学は、独立法人化することで学費を徐々にあげていくと思われます。
それに関して、批判などもあると思います。
ですが、国全体のデータを見れば、私立大の増加の方がはるかに、家計を圧迫しているのですねー。
(高校、大学ともに私立のマイスターとしては、いまさらながら親に申し訳ないです…)
若干ですが、中学、高校においても、「公立離れ」と見られる傾向が見られます。
また、「補習教育支出」の方も、面白いです。
補習教育支出というのは、塾や予備校などにかけるお金です。
これ、「幼児・小学校」の年齢層が、金額的に大きく伸びているのですね。
残念ながら、このデータだけでは、幼児と小学校の切り分けはできませんが、
マイスターがイメージするのはやはり、中学校受験に向けた、小学生の塾通いの増加です。
首都圏では、公立学校の教育レベルに対する不信感などから、私立の中高一貫校が人気だと聞きます。
そんな報道を裏付けるような数字かな、と感じました。
日本の教育において、私立学校の存在観が大きくなりつつあること、
私立学校の学費がこれまで以上に、家計に大きな影響を与えるあることがわかりました。
普段、こうした国全体の統計分析に触れる機会はあまりありませんが、
読み方によって、色々と面白い発見がありますね。
普段思っていることを裏付けてくれたり、
意外な事実を浮かび上がらせてくれたり。
こうしたデータのご紹介も、どんどん行っていきたいと思います!
もうちょっと生々しいデータとか、「うっそーん!?」みたいな資料を探し中。